zakky's report

ネタバレ上等ブログ

 

ZOO


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GOTHでちょっと乙一作品に興味を持ち、同様な短編集ということでこの作品も読んでみた。うーん、GOTHとは違った意味ですごい作品。

(「MARC」データベースより)

毎日届く恋人の腐乱死体の写真。彼女を殺したのは誰か? 「犯人探し」に奔走する男を描く表題作など、書き下ろし新作を含む10編を収録した短編集。『小説すばる』などに掲載された作品をまとめる。

 

 

 

GOTHでも感じたんだが、文章テクニックが秀逸というか、自分がミステリー小説慣れしてないだけなのかもしれないが、とにかく最後にあっと言わせる文章トリックが多い。内容的には引っかかるものがあるんだけど、この文章テクニックのおかげで読後感スッキリ、という不思議な感覚で読み終えてしまう。

GOTHが淡々とした死刑のような殺人とすると、こっちは真正面から向き合った殺人といったイメージ。絶望感とユーモアと切なさがバランスよくブレンドされている。GOTH同様、ほとんどの殺人犯が逃げ延びているのがやりきれないが、これ両作品の肝なのかも。

特に印象に残ったのは、『カザリとヨーコ』と『SEVEN ROOMS』、そして異質作の『血液を探せ!』。

『カザリとヨーコ』の双子トリックは、GOTHの森野エピソードを髣髴させるものがあった。それにしても理由なき(理由はあるのかもしれないが、作品中では言及されてなかった)児童虐待の描写が痛々しかった。そんな中でも主人公が健気に生きていき、時折見せるオッサンみたいな発言がいい味を出していた。

『SEVEN ROOMS』は珍しく殺人犯が一矢報いられる作品なんだが、姉の犠牲がちょっと痛々しい。というか、あれだけのことができるのなら、姉も生き残れる方法があったんでは?と思ってしまった。

『血液を探せ!』は、非常にアクが強い作品なんだけど、絶望的な中でのユーモア感、そして最後の意外性といういろんな要素がごちゃ混ぜになっていて、この短編集のいいとこ取り、といった気がした。

こうなると乙一氏の長編作品も読んでみたくなる。映画化した「暗いところで待ち合わせ」か「夏と花火と私の死体」あたりを狙っているところ。

【文庫】