zakky's report

ネタバレ上等ブログ

 

重力ピエロ


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ラッシュライフにつづく伊坂作品2作目で例の作品間リンクを味わった。ラッシュライフの方では一匹狼でスマートな泥棒として登場していた黒澤が、本作品では泥棒の副業、私立探偵として活躍している。なかなかかっこいいキャラだ。

(「BOOK」データベースより)

兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは―。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。

 

 

 

本作品のテーマは「家族の絆」といったところでしょうか。血縁よりも遺伝子よりも強い絆があるってこと。なかなかに「最強の家族」だった。

主人公の泉水とその弟の春。どちらも英語に訳すとspringとなる。泉水は遺伝子解析会社の営業社員。そして春は兄を慕う出来のいい弟。最強の兄弟だ。さらに父も能ある鷹が爪を隠すかのようにその能力をひけらかさず、母も他界しているものの元モデルの美女。全員が規格外の突出した何かを持ちつつ、強い絆で結ばれた最強の家族。だが、春は母親がレイプされて身篭った子どもという暗い過去が。。。

物語は連続放火事件とそれを予見するようなグラフィティアートを中心に進んでいく。途中でいくつもの伏線が張られるがそのどれも無駄な伏線ではなく、最後には見事に収束していく感じはラッシュライフ同様。この辺はエンジニア出身作家の本能かな。

ただ、ミステリー要素はイマイチ。グラフィティアートと連続放火の関係は非常によくできていたが、肝心の犯人はかなり前の方で予想がついてしまう。もう少し引っ張って欲しかった。最後の大どんでん返しを期待したが特にそういうのもなかった。

それから伊坂作品独特の理系っぷり。今回はDNAネタ。興味の無い人には逆にツライのかもしれないが。。。個人的には結構楽しめた。

詳細な仕組みとかはよく分からないが、DNAを構成する塩基にはA、T、G、Cの4種類がある。また、DNAは二重らせん状になっていて、それぞれの塩基同士がくっついている。その対となる組み合わせはAとT、GとCのみと決まってるらしい。従って片方のらせんの内容が分かれば、もう片方も分かるらしい。

また、細胞の寿命に関連するテロメアというTTAGGGの繰り返し部分があり、細胞分裂をする度にテロメアが1つずつ減っていき、テロメアが尽きれば細胞の寿命となる。しかし、癌細胞にはテロメアの影響がなく、そのため癌細胞はどんどん増殖してしまうとのこと。

それと塩基3つの組み合わせで作られるタンパク質の種類が決まり、その組み合わせをコドンというらしい。他にも細胞の自殺とかいろいろあったがかなり忘れてしまった。。。それに事件とは関係ないがフェルマーの最終定理まで登場したのは単純に嬉しかった。

ま、こういうのは専門書を読めばもっと詳しく知ることが出来るんだが、小説を楽しみながらも、さらっと理系ネタに触れられるところにも伊坂作品の魅力を感じてしまう。

 

 

 

【追記】

なんと、映画化の企画があるそうです。個人的な興味はあの黒澤を誰が演じるのか???

映画化情報はこちら