zakky's report

ネタバレ上等ブログ

陽気なギャングが地球を回す


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伊坂 幸太郎
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銀行強盗は四人いる。
本の購入から2時間ちょっとで読みきってしまいました。本を閉じれないんですもん、つぎつぎページをめくってしまうんですもん。映画のほうは見た事がないんですが、原作が変にいじられてなければ絶対面白いだろう...
あまなつShopあまなつで見る同じレイアウトで作成

 

久々の伊坂作品。「終末のフール」以来だ。多分、伊坂作品で一番有名な作品なんだけど、なかなか読む機会がなかった。で、感想はというと、今まで読んだ伊坂作品の中でダントツに良かった。伊坂作品はどれもいいんだけど、これは何か爽快感を味わえるというか、とにかく一番気持ちいい作品だ。細部まで説得力を持たせ、最後はまるで地球が回るかのように全てがきっちり収まるべきところへ収まる。さすがだ。。。

(「BOOK」データベースより)

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった…はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ!奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス。

 

 

 

ウソを見抜く、スリ、演説、体内時計という特殊能力を持った4人がギャングとなって活躍(?)する話。彼ら4人は綿密な計画の下に銀行強盗を成功させるが、逃走中に別の現金輸送車ジャックと鉢合わせ、せっかくの戦利品4000万を現金輸送車ジャックに奪われてしまう。

面白いのは銀行強盗の犯行手順。響野の「ロマンはどこだ」のセリフの後、成瀬、久遠、響野の3人がすーっと銀行に入る。すぐに銀行の自動ドアを手動に切り替える。拳銃威嚇発砲で全員動けなくした後、響野の演説でみなの注意を引く。その間、成瀬と久遠が現金をバッグに詰め、演説と現金確保が終わると銀行を出る。彼らが銀行を出ると、体内時計を駆使した雪子がドンピシャリのタイミングで銀行前に車で出迎える。その後も雪子の体内時計を頼りに信号に引っかからないタイミングで逃走、といった流れ。これを手際よくやってのける。

特に好きなのは響野の演説シーン。呆気に取られる銀行員や銀行客たちを相手に行う演説は面白い。このときは記憶についての演説で、記憶には「手続き記憶」「意味記憶」「エピソード記憶」の3種類あるとのこと。「手続き記憶」は例えば自転車の乗り方などで、一度覚えればおそらく忘れない、身体が覚えている記憶のこと。「意味記憶」は一般知識などの記憶で、例えば「信号の赤は止まれ」「私は男だ」など意味的な記憶。「エピソード記憶」は思い出などの生活の記憶とのこと。それぞれ脳の別の場所で保管しており、アルツハイマーエピソード記憶を失うものらしい。こんな話を銀行強盗の1人が延々と喋っていたら、呆気に取られながらも聞き入ってしまいそう。。。

響野はとにかくいろいろ喋り捲りで、強盗シーン以外でも面白い雑学ネタを披露している。強盗をジャックというのは、昔の馬車強盗が「ハーイ、ジャック」と挨拶して襲撃したのが始まりだとか。あと、チーターは遺伝子の多様性が極端に少なくて、一度個体数が何十頭単位にまで減ってから増えたと言われているとか。とにかく面白い。久遠が遮っちゃうのが残念だ。

最後は伊坂作品お得意の全てがきっちり収まる気持ちよさを堪能できる。外から鍵を閉めると中からは脱出不可能になるグルーシェニカー、銀行強盗対策の防犯訓練、さらには冒頭の警察マニアまで全てがひとつにつながる。そして、今回はさらに裏の裏の裏をかくという、高等心理戦まで楽しめて最高でした。

ロマンはどこだ」かっこよすぎる。