zakky's report

ネタバレ上等ブログ

 

自然の中に隠された数学


スポンサーリンク

 

★★★☆☆
イアン スチュアート
価格
数式のない複雑系科学の入門書
物理学を筆頭とする従来の要素還元型の自然科学で取り扱うのが難しい問題がある。そういった問題の一部に対して、複雑系科学をはじめとする非線形科学が有効かもしれない。本書では、カオス理論や複雑系科学によっ...
あまなつShopあまなつで見る同じレイアウトで作成
ちょっと想像とは違った本だったけど、それなりには楽しめた。複雑系やカオス理論といったとっつきにくい科学を分かりやすく説明してくれる良書だとは思う。数学的な記述に頼らず分かりやすい言葉で説明してくれるので文系の人でも読めるんじゃないかと。ただ、著者が何を言いたかったのかが全く分からなかった。 それから訳がイマイチ。もう少し分かりやすい訳なら理解が深まっただろうし、この訳のせいで理解できてなかった部分もかなりあるんじゃないかな。 つーか、この訳って文学的というかちょっと難しい単語や難解な言い回しが多いので、むしろ文系の人の方が取っ付きやすいのかもしれない。。。それって数学啓蒙書としてはアリなのかな???

(「BOOK」データベースより) 私たちはパターンの織りなす宇宙に住む。惑星はきちんと軌道をめぐり、ヒョウはいつも斑点の模様だ。さらに、でたらめでとらえどころがないと思われていた現象にも、複雑な秘められたパターンが見いだされつつある。この世界には一体、どんな法則が隠されているのか。カオス理論から複雑系の科学まで世界の謎をとく鍵を示し、自然認識の変革をせまる。

前半はかなり穏やかというか退屈な展開。何を伝えようとしてるのかが掴めないまま後半に入ってしまった感じだ。 花弁の数にフィボナッチ数がよく現れるとか、木星の衛星イオ、エウロパ、ガニメデの公転周期の関係など、ちょっと気になる小ネタを出しつつも、全体としては何を言いたいのかが掴めない。 ちょっとウケたのは、数学の証明において最も大事なのは興味深い筋書きであると説いた後、一般への比喩としてストーリーが穴だらけの映画の酷評をしていたところ。 「ゲリラが空港の管制塔で使われている電子装置を閉鎖し、自分たちのシステムととりかえて空港を占拠してしまう。空港当局と主人公は映画の映写時間にして半時間以上、物語の進行時間では数時間ものあいだ、空港に接近してくる飛行機と連絡がとれずに苦悩する。飛行機は着陸の指示を待って上空を旋回し、燃料はどんどん減っていく。だが、誰一人、わずか50キロ先に完全な機能をそなえた第二の空港があることも、最寄りの空軍基地に電話することも考えつかない。撮影技術はすばらしく、お金もかけているのだが――ばかばかしくて話にならなかった。」 とこんな感じで『ダイ・ハード2』と思われる映画をこき下ろしていた。何か一緒に映画見たくね〜。つーか、著者はこれを数学者の批判基準と言い切っているが、だとしたら数学者と娯楽映画は見ちゃダメだな。 そんな感じのグダグダが続くのかと思ってたら、ちょうど真ん中あたりの「バイオリンからビデオへ」の章から、だんだんと面白くなってくる。 というわけで、ここから各章ごとに軽く内容を残しておく。 5「バイオリンからビデオへ」 バイオリンの弦の解析から始まり、波動方程式、電気と磁気の統合、電磁波の発見、無線電信へとつながる思考の連鎖から、ついにはビデオやテレビ、レーダーへとたどり着いた圧巻のリレーを紹介。 6「破れた対称の美学」 二十面体のウイルス、オウム貝の渦巻き、砂丘の斑模様、ハチの巣の六角形、銀河の渦巻きなど、我々の宇宙に見られるパターンについて説明している。これらのパターンは対称性の破れが原因となっており、これがなければ、特定のパターンを持たない、すなわちどこを取っても全く区別がつかないものとなってしまう。そしてこの対称性の破れこそが、宇宙誕生初期に発生した対称性の破れの名残であり、もしも異なる方法で対称性が破られたならば、我々の住む宇宙はまた違ったものになっていたはずだという。うーむ、分かったような分からないような。平行宇宙の存在を思わせるような話だった。 7「生命のリズム」 歩行などの生命が刻むパターンについての考察。例えばウマの歩行の場合は、普通に歩く他にも、はや足(トロット)、普通駆け足(キャンター)、最高速駆け足(ギャロップ)があり、これらの動作はただ速くしただけではない根本的な違いがあるという。また、こうしたパターンは4本足の動物だけでなく、2本足のヒトや6本足の昆虫にも応用できるという。続いてホタルの興味深い明滅にも驚くべき生命のリズムがあるという。これはホタルの大群が同時に点滅する様についての考察だが、ある数学モデルの中では必然的に起こる現象ということで説明できるらしい。何かよく分からんが、ホタル同士が相互作用する結合振動子の集団として考えればアリなんだとか。うわー、分からん。。。まぁ、最後にこうした生命活動の中に現れる特徴的なパターンを単にDNAの配列によるものと片付けてしまうのはダメだというのは納得できた。 8「サイコロは神になれるか?」 ここではカオス理論について説明している。例えば気象の変動など、これまで全くランダムな振る舞いと思われてきた自然現象も実はカオス理論で説明ができるという。蛇口の水の滴りパターンを例にあげると、最初はポタ−ポタ−ポタ−ポタだったものが蛇口をゆるめることでポタ−ポタリ、ポタ−ポタリの2滴周期のパターンとなり、さらに次はポタ−ポタリ−ポト−ポトリの4滴周期、ポタ−ポタリ−ポト−ポトリ−ボタ−ボタリ−ボト−ボトリの8滴周期といったように繰り返しの周期が倍になっていくという。このように一見ランダムに見える振る舞いも、この周期倍増カスケードで説明できることが多いという。そして、この周期倍増カスケードには必ずδ(=4.669)が関わってくる。蛇口の滴りの例では、蛇口をひねって追加する水量は周期が倍増するたびに4.669の因数で減少するらしい。そして、他にも液体ヘリウム、水、電子回路、振子、磁石、振動する列車の車輪などの周期倍増カスケードの中にも、このδが現れるらしく、自然現象の奥深さには驚かされた。あ、何か日本で発明されたというカオス皿洗い機ってのが紹介されてたが本当にあるのかな??? 9「複雑系の単純さ」 水滴のかたち、動物集団の固体数の変動、植物の花弁の数を例にあげて、複雑系の中に潜む単純さを説明する。 水滴のかたちというと、一般的にはぴちょんくんみたいなヤツを思い浮かべるが、実際には非常に複雑だ。そういった複雑さの中にも実は単純な対称性が見出だせるという話だが、これがまたかなり難しい。何か「みごとではないか!」で説明を締めくくっているが、正直そこまで感嘆に値するとは思えなかった。多分、ちゃんと理解できれば「みごとだ!」と言えたんだろう。 動物集団の固体数についても正直理解できなかった。生態系の中で様々な要因で増減する複雑な固体数モデルを単純な微分方程式で近似できるよ、ってことだと思うんだが、それが何か?って感じ。 最後の花弁の数については、フィボナッチ数も黄金角も知っていたので十分理解できた。隣り合うフィボナッチ数の比は極限値φ[=(√5−1)÷2=0.618034…]に近づく。また、360°−(1−φ)から黄金角137.5が算出できる、といった話。そして、このフィボナッチ数由来の角度が、植物の葉や花弁の配列に顕著に現れるという話でまぁ有名な話だ。最も効率よく原基を配置するための自然の微調整の結果らしいが、そもそものフィボナッチ数の定義から考えると非常に不思議な話でもある。まさに自然の中に隠された数学のミステリーだ。 と、こんな感じで後半はなかなか読み応えのある展開だった。 そして、よく分からないエピローグへと続く。数字を扱うマセマティックスに対して形を扱うモルフォマティックスの必要性を説いているが、これがまたイマイチよく分からない。まぁ、現実にはない学問だから理解できなくて当然といえば当然なんだけど。。。で、力学系、カオス、対象性の破れ、フラクタルセル・オートマトンなどがまとめられれば、モルフォマティックスに到達できるかもしれないらしい。