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鴨川ホルモー

 「ホルモー」という何とも言えない響きだけがずっと気にはなっていたんだけど、不思議と読む機会もなかったし、読む気にもならなかった。が、うーん、よく分からないが結局読んじゃった。これも「ホルモー」のお導きか。。。

 予備知識ゼロで読めたのが良かったのか、度肝を抜く設定と展開がいい形で楽しめた。

 場所は京都と奈良で違うけど、全体的な雰囲気は『鹿男あをによし』と似た感じ。これが万城目氏の作風なのかな。

 実は数年前に京都に3ヶ月ほど住んでいたことがあり、京都ってのは何か独特の雰囲気があるなぁ、と懐かしさを覚えた。

 

鴨川ホルモー (角川文庫)
万城目 学
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(「BOOK」データベースより) このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祇園祭宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒涛の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。「鴨川ホルモー」ここにあり!!第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。

 

 「ホルモー」とは、、、京都に代々秘密裏に伝わってきた団体対戦競技だ。競技人数は1チーム10人の合計20人で、競技者は複数の式神(オニ)を操って対戦する。自分の操るオニが全て戦闘不能になると競技から脱落し、その際、不思議な力によって鼻の穴を破廉恥なまでに膨らませて「ホルモオオオォォォッ」と叫ばされることになる。これが「ホルモー」という名前の由来だ。

 このホルモー、歴史は古く、1000年も前から2年おきの代替わりをしながら伝えられてきたのだとか。そして、主人公の安部たちは、知らず知らずの内にこのホルモーに巻き込まれ、気づいた時には第500代京大青竜会のメンバーとしてオニたちとの契約をしてしまっていた。

 ちなみに京大青竜会の他にも、京都産業大学玄武組、立命館大学白虎隊、龍谷大学フェニックスの3団体があり、京大青竜会同様に1000年の歴史を持っていた。で、毎年だったか2年おきだったか忘れたが、祇園祭宵山の日に「四条烏丸交差点の会」と称して、これら4団体が四条烏丸交差点で一堂に会する。確か、この交差点って結構でかい交差点だったと思ったけど。。。

 さて、第500代京大青竜会のメンバーはというと、これがまた曲者ぞろいだ。主人公の安倍の他にも、ロス仕込みの帰国子女なのに何故かファッションセンスゼロの高村、美鼻の美女で鼻フェチ安部の片思いの相手早良、体育会系リーダー野郎の芦屋、大木凡人似の謎の女楠木、性格がいい双子の三好兄弟など、キャラの立ったメンバーばかり。あ、あとの3人、松永、坂上、紀野はよく分からなかったけど。。。

 ストーリーの進行はかなり早く、あっという間に1年が過ぎる。3月、吉田神社での「吉田代替わりの儀」を経て、オニたちとの契約を済ませた10人は晴れて正式な第500代を名乗ることになる。この「吉田代替わりの儀」がまたスゴイ。女人禁制で男性メンバーだけで舞を奉納するのだが、その内容があまりにもバカバカしい。「ドライブウェイに春が来りゃ イェ・イェ・イェ イェイイェイ」に合わせて「サムシング」を振るわせながら踊るという、何とも珍妙な奉納だ。万城目氏は、真面目な雰囲気を醸し出しながら馬鹿げた感じをうまく溶け込ますのが上手い作家だと思った。

 さて、第500代として認められ、ついにホルモーを戦うことになった第500代の面々。実は片思いの数珠つなぎができていた。安部は鼻に魅かれて早良に片思いをしていたワケだが、その早良はというと芦屋と交際していた。さらに凡ちゃんこと楠木が、何と安部に好意を抱いていたという構図。そんな片思いの数珠つなぎの中、早良が芦屋の気を引くために安部を利用してしまう。それが発端となり、芦屋が暴走、阿部はホルモー総則第17条を発議することになる。この発議によって、10人1組4団体で争われるホルモーが、5人1組8団体で争われるようになった。

 第17条発議によって京大青竜会は安部率いるブルースと芦屋率いる神選組に分かれたが、安部のわがままに巻き込まれて、他大学の3団体もそれぞれ分割させられてしまった。京産大玄武組は那智黒と多聞天に、龍谷大フェニックスは歎異抄ともう1チーム(チーム名分からず)、立命館大白虎隊も式部舞ともう1チームといったように、それぞれ分割し、合計8チームによるトーナメント、17条ホルモーがスタートした。

 さてさて、この17条ホルモーで凡ちゃんこと楠木がヒロインへと昇格する。楠木の想いも知らずに無神経なことを言ってしまった阿部に、「何で、そんなことばかり言うの? わ、わたしが好きなのはあ、安部−お前なの!」と泣き叫ぶ楠木。ここまでの楠木の描写がかなりマイナスイメージだったのと、早良の対極的なプラスイメージとが相まって、全然そういう感じに見ていなかったので驚きだった。

 さらに楠木はホルモー競技でも大活躍。これまで女性ということで補給部隊専門だった彼女が、高村の怪我により攻撃舞台に加わることに。そして、そこで彼女の指揮官としての能力が開花する。京大青竜会同士の決勝戦は、楠木の頭脳プレーと芦屋のパワープレーの対決に。結局、この対決は楠木に軍配が上がる。しかし、細かいことは省くが、実質的に勝ったのはブルースの方だったが、競技としては神選組の勝利となる。

 そんな感じで17条ホルモーは京大青竜会のワンツーフィニッシュで幕を閉じたワケだが、翌年再び一つとなった京大青竜会の会長には、何と安部が就任することに。芦屋の戦闘能力と楠木の指揮能力がうまくかみ合えば、かなり強いチームになりそうだ。楠木は新たなオニ語でオニたちを泳がしたり飛ばしたりしてるし、、、 そんな感じで、体育会系アリ、恋愛アリ、バカバカしさアリの内容でした。続編『ホルモー六景』も早々に読もうかと。

 

 

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