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明日もまた生きていこう 十八歳でがん宣告を受けた私


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 弱冠17歳、現役高校生でありながら全日本メンバーに選ばれ、将来を嘱望されていた横山友美佳選手。今や日本女子バレーボール界を代表する木村沙織選手とは下北沢成徳高校の先輩後輩の仲を超え、良きライバルとして、親友として、そして時には姉妹のような関係だったという。そんな彼女が癌を宣告されたのは18歳。全日本合宿への参加連絡とまさに同じ日に彼女は癌を宣告されたのだった。

 これはバレーボール漬けだった18年間と癌を告知されてからの3年間の闘病記録。最後まで決して諦めず、必死に生きようとする彼女の姿と叫びはすごく印象に残った。嫉妬、恨みつらみ、そういった負の面も包み隠さず、気丈に闘う彼女の姿が印象的だった。

 

明日もまた生きていこう 十八歳でがん宣告を受けた私
横山 友美佳
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Amazon.co.jpより) 著者について 横山友美佳(よこやま・ゆみか) 1987年3月2日、北京生まれ。小学校より体力強化のためにバレーボールを始める。中学時代からオリンピック有望選手に選ばれるなど全国区で活躍。下北沢成徳高等学校入学後は、1年時に春の高校バレーで準優勝。2年時に全日本シニア登録選手としてワールドグランプリに出場。その後、3月にがんが発症する。闘病しながら早稲田大学教育学部に入学するも、再発のため6ヶ月で自主退学。2008年4月17日、21歳で永眠。

高校バレーボール界でも注目を浴びていた彼女。そんな彼女のことだから、いつも前向きな姿勢でバレーボールに取り組んできたんだろうなぁ、と勝手な想像をしていた。が、意外や意外、彼女はいつも後ろ向きな考え方を持っていたようだ。

 ところが病気になって初めて、健康の難しさと素晴らしさに気がつき、失ったものばかり悔やんで、今の自分を否定するのをやめようと決意する。「今自分に残っているものをいかに大事にして、どんな人生を送るか考えるほうがよっぽど有意義だ」と。

 そして病気になったからこそ気がついた幸せを感じ、それに気がつかなかった過去の自分に同情する。ここを読んだときはかなりグッときた。

 バレーボールに打ち込んできた自分とは違う強さを持とうとする彼女。そして、闘病だけでなく、その先を見据えて早稲田大学進学を目指す。特に健康福祉学科を志望した理由がスゴイ。

 この運命に選ばれた人間なら、この経験を生かすべきだ 本当に強い。実際、第一志望に見事合格する勝負強さも持っている。妥協のない厳しさに裏打ちされた勝負強さだ。彼女は本当に自分に厳しい人だと思う。

 そして、1年間に及ぶ闘病生活と受験勉強の末、晴れて早稲田大学に入学した彼女だが、やっと掴んだ幸せな学生生活も束の間、癌が再発してしまう。もともと元気で健康な彼女の身体は癌細胞が増殖するのも速かったのかもしれない。

 そんな絶望の中にいる彼女に衝撃的であまりにも残酷な宣告が。もう自分の人生はそれほど長くはないと知った彼女。闘病、退院、再発を通して強くなったことがよく分かる。自分よりも家族を思いやり、それでいて諦めない強さをも持っていた。

 たとえ短くても一度きりの人生には花を咲かせたい。私は生まれてからずっとその時その時を一生懸命生きてきた。病気になったことを理由に一生懸命生きてきた自分を否定してはいけないと思った。

 そして終盤にむけて死が現実のものとしてチラつき始める。そんな中でも最後の奇跡にかけている彼女のことを考えると、何とかならんもんなのかと本気で考えてしまう。

 本編は2007年11月29日で終わっており、その後に続くあとがきの日付2008年4月1日までの約4ヶ月の記録は記されていない。が、最後の奇跡を求めて、想像を絶する痛みや治療と闘っていたんだろう。

 そして最後の夢だった本書の刊行を通じて、彼女は奇跡を起こした。実はこの本は書籍化が決まって書き始めたのではなかった。書籍化するために書き始めていただけで、書籍化の目処は全く立っていなかったという。それを何とか彼女の夢を叶えようと動きだした看護師の一人が、偶然にもマガジンハウスの編集者と出会い、編集部に原稿が届いたのだという。残念ながら本書の完成を待たず、彼女は2008年4月17日、横紋筋肉腫のため21歳でこの世を去った。

 亡くなる半月ほど前に残したあとがきには、それでも諦めず、最後まで生きようとする強さが込められていた。そして、その中には本当は何度も何度も叫んだに違いない魂の叫びも残されていた。

 命を捨てるくらいなら、私にください!!

 彼女は、自殺した人だって最後まで生きたかったに違いない、とただ恨みつらみを書き綴っているワケじゃない。それでもたった一つの尊い命を粗末にする行為は決して許されないのだと。