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ネタバレ上等ブログ

涼宮ハルヒの退屈


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 第1作『涼宮ハルヒの憂鬱』と第2作『涼宮ハルヒの溜息』の間のSOS団の日常を描いている。表題作「涼宮ハルヒの退屈」他、「笹の葉ラプソディ」「ミステリックサイン」「孤島症候群」の計4本+プロローグの短編集となっている。

 まぁ、普通にドタバタ学園モノといった感じだが、前2作で感じたもやもやが若干解消していたり、いろいろ計算された感じはする。特に「笹の葉ラブソディ」は秀逸。

 ただ、個人的には第1作があまりに衝撃的過ぎたからか、ちょっとだけ飽きてきた感じがしないでもない。。。いや、話はすごい面白いんだけど。

 

涼宮ハルヒの退屈 (角川スニーカー文庫)
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(「BOOK」データベースより) ハルヒと出会ってから俺はすっかり忘れた言葉だが、あいつの辞書にはいまだに“退屈”という文字が光り輝いているようだ。その証拠に俺たちSOS団ハルヒの号令のもと、草野球チームを結成し、七夕祭りに一喜一憂、失踪者の捜索に熱中したかと思えば、わざわざ孤島に出向いて殺人事件に巻き込まれてみたりして。まったく、どれだけ暴れればあいつの気が済むのか想像したくもないね…。非日常系学園ストーリー、天下御免の第3巻

 

涼宮ハルヒの退屈

 第1作のあの事件から2週間後のこと、ハルヒが退屈しのぎに持っていた話は草野球への参戦だった。例によってSOS団部室にはキョンの他に、萌え萌えっ娘の朝比奈みくる、無反応の長門有希、ニヤケハンサム古泉一樹の3人がいて、そこに草野球大会のビラを持って意気揚々と現れたのがSOS団団長のツンデレ姫、涼宮ハルヒだ。

 ちなみにコスプレ姫のみくるは、第1作ではメイド服、第2作ではウェイトレス姿だったが、今回はナース服での登場となったようだ。キョンはナースよりもメイドが好みらしいが。。。

 さて、野球なんて全くやったことないメンバーが突然野球をやることになったかと思いきや、その日のうちに練習まで開始って、、、 でも、さすがはハルヒ、シートノックで宣言したところに確実に打ちこむ。スポーツ万能な上に、テストは学年でトップ10という文武両道かつ才色兼備というスーパーキャラだ。

 なお、SOS団は5人しかいないので野球をするには4人足りない。というわけでキョンの友人の谷口と国木田、そして、前作でも登場したみくるの友人でお嬢様の鶴屋さんが登場。さらにもう一人は何と、小学生、しかも女の子、、、キョンの妹が参加することに。。。これは間違っても勝ち進まないようにということでキョンが考えてのことだった。ちなみによく分からないがキョンの妹は名前が出てこない。キョン自体もニックネームだが、、、謎だ。。。

 それから鶴屋さんは前作で登場してたけど、時系列的にはこれより後の話なので、ここで初めてキョンやハルヒと出会ったことになる。

 初戦の対戦相手はハルヒが望んだからなのか、目下三連覇中で優勝候補筆頭の上ヶ原パイレーツ。そんな相手にど素人で女子の方が多いチーム、しかも一人は小学生の女の子って、、、これで勝つ方がおかしい。普通に考えればコールド試合というか、攻守交替もないまま延々と上ヶ原パイレーツの攻撃が続きそうなんだが、、、 実際、試合前の簡単な練習で分かるほどの実力差で、相手チームに謝りたくなるほどとキョンも語っているが、これ何となく分かる。草フットサルの経験でこういう気持ちになったことある。。。

 それにしてもハルヒの作戦がある意味凄すぎる。

 「作戦を授けるわ。みんな、あたしの言うとおりにしなさい。 いい、まず何としてでも塁に出るのよ。出たら、三球目までに盗塁ね。バッターはストライクならヒットを打って、ボールなら見逃すの。簡単でしょ?あたしの計算では一回に最低三点は取れるわね」

 これができたら最強チームだ。

 さて試合開始。やはりというかハルヒ以外は全くダメ。いや、鶴屋さんが結構上手かったりする。やはり良家のお嬢様という感じじゃないなぁ。そして試合に負けてくると閉鎖空間が発生。って相変わらず無茶苦茶なハルヒだ。つーかキョンを4番打者にするのは望み通りにできるのに肝心の試合展開はダメなのね。

 で、9対0のコールド直前になって長門がいよいよ禁じ手を使う。金属バットの属性情報をブースト変更してホーミングモードにしたという。要するにバットが勝手にボールを追いかけて打ってくれるらしい。さらに守備ではキョンの投げる球にやはり長門が何か唱えて魔球にしている。キョン曰くミステリアスボールとのこと。これであっけなく11−9で逆転勝利。

 そういえば、スタンディングダブル、フィルダースチョイスって野球用語が出てきたが初めて聞いたのでネットで調べてみた。。。 「スタンディングダブル」→打者走者がスライディングを行わず、立ったまま二塁達すること。要するに余裕の二塁打ってことか。ちなみに三塁打はスタンディングトリプルというらしい。 「フィルダースチョイス」→打球を捕った野手が一塁で打者をアウトにできるのに、先行走者をアウトにしようと他の塁へ送球し、これも間に合わずに全走者を生かすこと。日本語に訳すと「野手選択」となるらしいが、、、うーむ、初めて知った。

 さて、めでたく勝利したSOS団だが、二回戦進出の権利は上ヶ原パイレーツに譲り、SOS団の野球は1試合で終了する。まぁ、インチキ勝利なので、権利譲渡というか本来あるべき姿だが、、、その後、上ヶ原パイレーツは優勝したのだろうか???

 数日後、今度は草サッカーと草アメフトのビラを持ってハルヒがやってきた。草野球や草サッカーは普通に聞くが、草アメフトってあるのか???

 

 

笹の葉ラプソディ

 7月7日、七夕のお話。今回の4編の中では、シリーズ的に一番重要な話となる。

 冒頭のハルヒとキョンの会話。どうやらハルヒは七夕でひと騒ぎしようと画策中だ。まぁ、実は今回はハルヒの画策していることはどうでもよかったりする。

 さて、今回のみくるは夏仕様メイド服となったらしい。キョン曰くみくるのいないSOS団はルーのないカレーライスらしいから、それはもう重要な存在なんだが、ルーのないカレーライスはもはやカレーライスではないのでは??? さて、そのSOS団部室では、ハルヒが七夕の願い事について演説を始める。ベガとアルタイルの話から始まり、特殊相対性理論まで説くハルヒ特殊相対性理論によれば光より早い通信手段は存在しないから、ベガとアルタイルまでの距離25光年と16光年を考えると短冊の願い事は25年後と16年後に叶えてもらえるということらしい。うーん、アインシュタインも思いつかんわ。。。

 そんなマジな話をしつつも、願い事は地球逆回転とかメチャクチャハルヒ

 まぁ、今回のメインはここからで、なぜかキョンとみくるが3年前の7月7日に行くことになる。みくるの時間跳躍の力を使ってのタイムとラベルだ。そしてキョンは3年前のハルヒと出会い、中学校の校庭に巨大なメッセージを書かされる羽目にあう。これって第1作『憂鬱』でハルヒがキョンに昔会ったことない?って聞いたアレにつながってるのかと。ということは、作者は第1作を書いた時点である程度この筋書きを持っていたってことなのだろうか?

 で、3年前のハルヒとの共同作業を終えつつ、元の時間平面に戻ろうとするところで事件発生。みくるの時間跳躍アイテムTPDDがなくなってしまったのだ。ここでのみくるの説明がよく分からなかった。時間平面上の既定の出来事はすでに決定してるはずなのでTPDDが存在するならば確実に手元にあり、それが無いということはすなわちそれが既定の出来事であるから『無い』のはすでに決定された既定なのである、、、という内容なんだが、要するに「無いものは無い」って理解でいいのか???

 まぁ、結局はキョンの機転で今度は3年前の長門に会い、長門の力で元の時間平面に戻ることになる。長門がこれまでの経緯を聞き、何と3年後の自分と記憶を共有してしまう。

「異時間同位体の当該メモリへアクセス許可申請。時間連結平面帯の可逆性越境情報をダウンロードした」

 うーん、ここからの長門は最強過ぎる。何とキョンとみくるだけを部屋に閉じ込め、その部屋ごと時間を止めて、3年後に時間停止を解除することで二人を元の時間平面上に戻してしまう。

「選択時空間内の流体結合情報を凍結、既知時空間連続体の該当ポイントにおいて凍結を解除した。それが今」という長門の言葉でカラクリを理解したみくるもスゴイな。。。

 ちなみにこの方法は『サマータイムマシン・ブルース』の瑛太もやってたヤツだ。あっちはタイムラグが1日なので時間は止めずに寝てただけだが。

 最後にキョンが感じた疑問。みくる理論によれば過去と未来に連続性はないはずなのだが、今回3年前に行ったことがハルヒの北高入学やSOS団設立につながったと考えられなくもない。やはり時間には連続性があり、みくる理論は矛盾していると。それに対する長門の回答。「無矛盾な公理的集合論は自己そのものの無矛盾性を証明することができないから」うーん、分からん。

 

 

ミステリックサイン

 ハルヒの描いたSOS団エンブレムをSOS団サイトにつけたことがキッカケとなって何かスゴイことになってしまった話。

 それにしてもキョンのみくる贔屓はすごいなぁ。みくるのことは迂闊で愛らしい方とか無翼の天使とか言う一方、長門のことは部室の付属物だとか置物だとか、液体ヘリウムみたいな目ってどんなだよ! どうもネット上では長門のほう人気あるっぽいけど。ミステリックサイン最後の挿絵の長門は結構よさげだった。

 さて、ハルヒの描いたSOS団エンブレムだが、この10キロバイトにも満たないはずのデータが、実は436テラバイトほどの情報を持っているらしく、こいつがインヴォケーションサイン(召喚魔法円みたいなもの)となって情報生命体の亜種を呼び寄せてしまうらしい。で、コンピュータ研究部の部長氏が自宅でSOS団サイトを閲覧したところ、そこに情報生命体の亜種がやってきて、何か色々あって異次元空間が現れ、そこに部長氏は閉じ込められてしまったらしい。そして、ハルヒを除くSOS団メンバーで部長氏を救出に行くことに。

 どうやら長門によると、次元断層が存在して位相変換が実行されているらしく、さらに局地的非浸食性融合異時空間が制限条件モードで単独発生しているらしい。。。って意味分からんが、異次元空間があるって理解でいいかと。んで、その空間で巨大カマドウマが暴れてそいつを古泉が倒して終了。みくるの「武器の携帯は厳禁です。あぶないです。」ってセリフはなかなかウケた。

 最後に謎が残る。部長氏捜索の依頼人だった喜緑江美里が実は部長氏の彼女じゃないらしい。どうやら長門が操ってたっぽい? 長門に聞いても答えないだろうが、喜緑さんに聞けば何か分かりそうな気がするんだが。長門に操られてたなら、そんな記憶すらなさそうだが、何か謎のまま終わっちゃった。

 

 

孤島症候群

 SOS団夏休み合宿の話。

 古泉曰くクローズドサークルとしては吹雪の山荘と双璧を誇る嵐の孤島が舞台となる。現地到着までもなかなか面白い。大きなフェリーが浮くのをしきりに驚くみくる。彼女のいた未来は船はないのだろうか? 古泉はオセロとかも弱いがババ抜きも弱いらしい。

 島への移動手段であるクルーザーでのハルヒと新川執事の会話は見事過ぎる。

「それで、その建物は何て呼ばれているの?」

「と言いますと?」

「黒死館とか斜め屋敷とかリラ荘とか纐纈城とか、そんな感じの名前がついてるんでしょ?」

「いえ、特に」

「おかしな仕掛けがいっぱい隠されてたりとか、設計した人が非業の死を遂げたとか、泊まると絶対死んでしまう部屋があるとか、おどろおどろしい言い伝えがあるとか」

「ございません」

「じゃあ、館の主人が仮面かぶってるとか、頭の中がちょっと爽やかな三姉妹がいるとか、そして誰もいなくなったり」

「しませんな。。。今のところは、まだ」

「じゃあこれから起こる可能性はかなり高いわね」

「そうであるのかもしれません」

 あくまで前向きにハチャメチャな発言をのらりくらりと返す新川執事はスゴイ。。。

 そんなハルヒだが、あくまでも何か事件に巻き込まれたいらしく、館の主人である多丸圭一を「怪しくないのが逆に怪しい」とか言いつつ、事件も起きてないのに犯人は主人だと言い張る。が、ある意味当たってるから怖い。実はこの旅とこれから起きる事件は古泉がハルヒを退屈させないために仕組んだ偽装事件で、SOS団以外は全員機関の人間だったワケだ。未登場の刑事や鑑識役の人まで用意していたらしい。だから多丸氏が犯人というハルヒの主張はハズレでもない。

 まぁこの話では、何だかんだ言ってもハルヒがSOS団の仲間を思いやる気持ちを持っているのがよく分かった。