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リクルートのDNA―起業家精神とは何か


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 今や人材輩出企業として名高いリクルート。そのリクルートの創業者である江副浩正氏が同社について語っていく中で企業家精神の本質に迫っていく。その内容は同社の企業風土や創業からのあゆみ、そして失敗事例にまで及んでいる。さらに松下幸之助本田宗一郎といった伝説的起業家からユニクロの柳井正やソフトバンクの孫正義といった勢いのある最近の経営者まで多くの名起業家との交流についても公開しており、非常に贅沢な内容だ。やや自画自賛気味だが、、、

 江副浩正というとまず真っ先に思い浮かぶのはリクルート事件で逮捕された人ってこと。確か自分が中学か高校くらいの頃の事件だったかと思うが、ニュースで連日報道されていたのを覚えている。この政財官界をも巻き込んだ巨大な汚職事件は、最終的には竹下内閣総辞職にまで及んだらしい。

 この事件とバブル崩壊のダブルパンチでリクルートは壊滅的状況に陥り、一時ダイエーグループ傘下にて建て直しを計る。そして1兆4000億という膨大な借金を自力返済したのだが、本書を読めばこの脅威的な回復も不思議ではないと思ってしまう。

 

リクルートのDNA 起業家精神とは何か (角川oneテーマ21)
KADOKAWA / 角川書店 (2012-10-01)
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(オンライン書店ビーケーワンより) なぜ「リクルート出身者」はビジネス界で無類の強さを誇るのか? 創業者が自身の経験をもとに、「起業家精神」と、企業を拡大発展させる極意を教える一冊。ここにベンチャーのすべてがある!

 

 まず企業風土に関して、リクルートの社是社訓や行動指針を紹介しているが、そこにはまさに人材輩出企業たる理由が仕組まれている。特に経営理念とモットーは、読むだけでこんな会社で働いてみたいと思わせるものがある。個を尊重しつつ、それを組織力へと昇華させる仕組みがそこにはある。

 続く「私が学んだ名起業家の一言」では実に多くの起業家について触れている。松下幸之助本田宗一郎をはじめとして、ソニーの井深大盛田昭夫大賀典雄や京セラ稲盛和夫、さらにはセブンイレブン鈴木敏文、ユニクロ柳井正、ソフトバンク孫正義といった最近の有名経営者まで、一瞬お友達自慢かよと思ってしまうほど凄い顔ぶれだ。

 続いて著者の考える「成功する起業家の二十カ条」なるものが出てくる。ふむふむ、自分に起業家の資質はあるのかな?と思いながら読んでいくと、9番目に「若く就職しないで起業すること」なんて書いてある。なんだもう資格喪失かよ、と思いつつも読み進めていくと、最後の20番目に「若くなくても起業して小さな成功は収められる」といったことが取って付けたように書かれている。うーん、小さな成功かぁ。。。

 そして、リクルート創業期の話。江副氏が通っていた東大の学内新聞から始まった広告代理店業務は、多くの有名大学の学内新聞へと業務拡大していく。学内新聞向け広告代理店業務が軌道に乗ったある日、アメリカで大学卒業生向けに無料配布されているという就職情報誌の存在を知る。これに可能性を見いだした江副氏は、すぐさま日本版無料就職情報誌「企業への招待」の発行へと動く。

 広告代理店業務と違い、自らがメディアの発行元となるため資金回収よりも先にまとまったお金が必要になったり、学内新聞と違ってメディア信用度がなかったりして営業にも苦労したが、有力企業を無料掲載するなどして何とか初年度版を赤字ながらもやりぬき、翌年の大成功へとつないだ。やはりリスクを取らないと成功はつかめないということか。

 さらにリクルートの真髄でもある経営者を育て輩出する風土について言及している。社員皆経営者主義の下、リクルート社内には数百ものプロフィットセンター(PC)が存在し、PC長は社長、PCメンバーは取締役といった経営射的な役割が与えられる。こうした事業的側面だけでなく、同社が誇る社内報「かもめ」やじっくりT(取締役)会議などによる社内の風通しのよさ、福利厚生面の充実などすべてが人材輩出企業へと結びついているように感じられる。まぁ、言うは易く行うは難し、ってやつで簡単に真似できることではないんだけど、すくなくともリクルートが人材輩出企業であることは疑う余地もないと思った。

 こうした土壌の上で毎年のように新規事業を展開しているリクルートだが、2〜3件の事業化案件の裏には100件ものお蔵入り提案があるという。こうした選りすぐりの提案だけに事業化すればすべてヒットするかというと、市場はそんなに甘くなく、失敗した事業がいくつもあったという。主に通信関係や電算機関係での失敗が大きかったようだ。そしてこうした中で著者が考えたのは起業はボトムアップで始め、撤退の判断はトップダウンですべきだという。

 終盤でいくつかの失敗事例を紹介して本書を締めているが、全体的には大きな成功と小さな失敗の繰り返しで成長してきている。小さな失敗というと語弊があるかもしれないが、たとえインパクトの大きな失敗であっても、二度と同じ失敗をせず、そこから何かを学ぶことで次の成功へとつなげており、失敗も糧にするしたたかさが起業家には必要なのだろう。まぁ、企業家ってのは失敗を恐れずにリスクを取りに行く人種なんだろうけど、言うは易く行うは難しってやつだとつくづく思う。。。