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zakky's report

ネタバレ上等ブログ

 

少女


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あの『告白』で衝撃的なデビューを果たした湊かなえの第2作。

『告白』のレビューはこちら
告白 - zakky's report


今回も『告白』同様に後味が悪い。よくもここまで期待通り?に後味を悪くできるもんだと感心してしまった。これが今時の女子高生なんだろうか? うーん、ちょっと怖い。

少女 (双葉文庫)
少女 (双葉文庫)
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湊 かなえ
双葉社 (2012-02-16)
売り上げランキング: 14,762


(オンライン書店ビーケーワンより)
高2の夏休み前、由紀と敦子は転入生から衝撃的な話を聞く。彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。その告白で2人の胸にある思いが浮かぶ。「人が死ぬ瞬間を見たい」。少女たちの好奇心から始まった夏の結末とは?

桜井由紀、草野敦子、そして滝沢紫織の3人の女子高生を取り巻く因果応報な物語。まず冒頭は誰かの遺書の前半部分から始まる。そして、その遺書に対する誰かの感想も。

敦子は小学生時代、剣道で全国優勝した経験を持つが、中学三年の時、県大会決勝の団体戦で彼女が負けたことで全国大会に行けなくなり、そのことがきっかけで苛めを受ける。名門私立黎明館高校のスポーツ推薦も他の部員からやっかみで断念し、公立の女子高桜宮高校へと進学したが、苛めの傷は彼女の心の中に残り、とにかく周囲に合わせて溶け込むことを第一に考えるようになる。また、当時のチームメイトと会うと過呼吸を起こしてしまう。

一方の由紀は幼い頃からやっていた剣道で敦子と知り合い、以来、敦子とは親友同士。小学校5年生の時、痴呆の祖母に切りつけられ、左手の握力が極端に低くなり剣道をやめた過去を持つ。桜宮高校では敦子と同じクラスだが、敦子とは逆に周囲を気にせずマイペース、淡々とわが道を行くタイプだ。

文章を書くのが得意な由紀が敦子を元気づけようと書いた小説「ヨルの綱渡り」が当時の担任教師小倉に盗まれ、小倉の作品として新人賞を受賞してしまう。受賞作として雑誌に掲載され、不本意な形で敦子の目に留まり、二人の関係はギクシャクし始める。

そんな二人のクラスに転校してきたのが紫織だ。敦子が推薦を辞退した黎明館高校からきた紫織が二人に友人の死を目撃したことを告白し、物語が因果な方向へと回りだす。

紫織の告白を機に二人は死を目撃したい欲望に駆られる。由紀は小児病棟への読み聞かせボランティア、敦子は老人ホームでのボランティア活動で、それぞれ死に接する機会を伺い始める。敦子は老人ホーム職員の高雄孝夫(通称おっさん)、由紀は入院中の二人の少年、タッチー&昴とそれぞれ仲良くなり物語は後半へ突入。

さて、この物語は非常に狭い範囲でリンクしており、難病の昴の父親が老人ホーム職員のおっさんであることが発覚。おっさんは過去に痴漢冤罪の被害に遭い、そのせいで妻と離婚、息子である昴とも会えない状態だったが、二人のすったもんだの調整によって親子の再会が実現する。感動の再会と思いきや、なんと昴が果物ナイフでおっさんを刺してしまう。幸い命に別状がなかったが、数日後、昴は病気で死んでしまう。この辺は本当にカオスだ。。。もう何がなんだか。。。 メインストーリーはこんな感じなのだが、実はここからがこの作品の肝。

先にも書いたとおり、この物語は非常に狭い範囲で人物や事件などがリンクしており、それぞれが因果応報な結末を迎えている。ちょっと伊坂作品っぽい感じがしないでもないが、陰鬱さは湊かなえ作品独特だ。

ざっと気がついたリンク内容を書いておく。ネタバレ注意!

紫織の自殺した親友星羅(セーラ)は由紀の「ヨルの綱渡り」を盗作した小倉と援助交際しており、しかもそのことを敦子が悪気や自覚もなく、黎明館高校の学校裏サイトにタレコミしたせいで自殺に追い込まれている。小倉も星羅の死や由紀の仕返し(成績表バラマキ)などの複合的要因でやはり自殺しており、その自殺現場を由紀の彼氏の牧瀬が目撃している。

また、紫織は老人ホームのおっさん(高雄孝夫)に痴漢の罪を着せ、そのせいでおっさんは家族も仕事も失っている。一方、紫織の父親が由紀に働いた変態行為のせいで学校で苛めを受けることになり、これまた自殺。

おっさん(高雄孝夫)は紫織の嘘痴漢のせいで人生を狂わされたが、その結果、老人ホームで働くことになり、敦子と出会い、由紀も絡んで息子の昴と再会し、死に立ち会うこともできた。

敦子は自分のタレコミのせいで星羅が自殺に追い込まれたことに全く気づいていないが、由紀の方はどうなんだろうか? 自分の行動(紫織の父に変態行為の見返りに小遣いをせびり、断られたので公表した)のせいで紫織が自殺に追い込まれたワケだが、彼女の頭脳明晰さなら気がついているはずなんだが。。。

ちなみに敦子はおっさんに「ヨルの綱渡り」を読ませてもらい、二人の間のわだかまりは解消。二人だけが因果応報の世界から外れてハッピーに終わってるのが何ともいえない終わり方だ。

さて、冒頭に出てきた遺書だが、その後半部分が最後に出てくる。最後の署名で遺書の主が紫織であることが分かるのだが、かなり前の段階、というか遺書に対する感想を読んだ段階で、由紀と敦子ではないことは明白だったので、最後まで引っ張った意味がちょっと分からなかった。まぁ、意味なんてないのかもしれないが、、、 できれば最後の一行でゾクリと来るような、あの『イニシエーション・ラブ』のような終り方にして欲しかった。

少女 (KCデラックス)
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岩下 慶子
講談社

贖罪 (双葉文庫)
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湊 かなえ
双葉社 (2012-06-06)
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