ザキレポ

ネタバレ上等ブログ

鴨川ホルモー(映画)

万城目学のデビュー作『鴨川ホルモー』の映画版。

映画化の話を聞いたときはすぐに見たいと思っただが、結局映画館に行く暇がなく今回DVDで鑑賞。

感想は、、、映画館行かなくてよかったかな。

やっぱり原作好きとしてはいろいろ端折られているのが気になる。特にホルモーの対戦シーンが少なく、初戦の立命館大学白虎隊との対戦と十七条ホルモーとして青竜会同士の対戦だけで終わり。原作ではリーグ戦を軸に十七条ホルモーも各大学が青竜会の仲間割れの煽りを食って2チームに別れ、8チームリーグ戦としてリーグ戦を進めたが、映画版では青竜会が一時的に2チームに分かれただけという設定だった。この辺がしっくりこない。

あ、でも吉田代替わりの儀の「レナウン娘」をそのまま映像化した点は認めざるを得ない。この儀式は個人的には非常に重要。ただ、さすがに「サムシング」には何か雲みたいな絵がかぶさっていたけど。

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(「シネマトゥデイ」より)
二浪した後、念願の京都大学に入学した安倍(山田孝之)は、一目ぼれした早良京子(芦名星)の存在が決め手となり「京大青竜会」というサークルに入部する。安倍はここをレジャーサークルか何かだと思っていた。しかし、実態は京都に千年伝わる競技、“ホルモー”のサークルだった。

冒頭の山田孝之のキョドリ演技にぎこちなさを感じつつも、京都の情景や原作を思い出しながら見続ける。

安部と高村(濱田岳)がサークルの新歓コンパで鼻美人の早良(芦名星)や唯我独尊野郎の芦屋(石田卓也)、隠れ美人の凡ちゃんこと楠木(栗山千明)らに出会い、、、といった感じで比較的原作通りのオープニングで徐々に映画の世界に入り込んでいった。

四条烏丸交差点の会。これは迫力あった。お祭で賑わっている市場烏丸交差点に京都産業大学玄武組、立命館大学白虎隊、龍谷大学フェニックス京都大学青竜会の4団体が着物を着て一堂に会するという、通常はお目にかかれない構図。そして例の吉田代替わりの儀。レナウン娘の舞の奉納を余すところなく映像化したのは素晴らしい。

笑えたのは部室に山積みされたカリフォルニアレーズンのダンボール箱。1000年の伝統を誇るホルモーで輸入レーズンが使われるとは。つーか、レーズンとか干しブドウとかって国産はほとんどないらしいけど。

そんなわけで先にも書いたとおり、途中から原作とはちょっと違ったストーリーへと展開していく。ホルモー対決シーンは少ないながらも迫力満点。特に1000匹対1000匹のオニたちの雄姿がはっきり見られたことは画期的。愛嬌あるオニたちがわらわらと走り回る戦闘シーンはなかなか楽しかった。それから女性陣の救援部隊の格好がちょっとドラクエの僧侶チックでかわいかった。(ラストクレジットにお詫びが出てたが、赤十字マークの使用は違反だったらしい)

気になるオニ語については、、、なんかヘンだ。たぶん原作とは違うと思う。「つぶせ」が「ゲロンチョリー」で「我に続け」が「アイギュウ・ピッピキピー」だったかと。ゲロンチョリーはないだろ!と最初は思ってたが、あの独特のポーズ(体は横に顔だけ前に向け、軸足は少し曲げ、もう一方の足はピンと前方に伸ばす。上半身は後ろに逸らして、両腕は地面に向けて下げる。文章にすると長い。。。)で「ゲロンチョリー」と叫ぶ山田孝之栗山千明を見てると、これはこれでアリかな、と思った。原作のオニ語はもっと発音困難な言語だったと記憶している。

それから自分のオニを全滅させてしまったときの「ホルモー」だが、これは想像以上の、というか想像とはちょっと違った方向にスゴイ形相だった。特に最後の対決で全滅後も「ホルモー」発しようとしない芦屋のそれは、ものすごい、ある意味オニの形相だった。

残念だったのは楠木の司令塔ぶりが披露されなかったこと。芦屋にやられて全滅寸前の安倍を助けたところでの頭脳プレーはよかったけど、楠木の本領はそこじゃない。戦局全体を俯瞰し、皆が使えないオニ語を駆使してオニたちを絶妙に操る指揮官こそが彼女の見どころだったのに。あと、なんかメガネ外した後の風貌が変わりすぎ。それにしても栗山千明はすごい細いな。バイト先の格好で現れて「よっ!」って言うシーンは、『特急田中3号』を思い出した。

それからこの映画のもう一つの見どころとしては、風情ある京都の景色。これも結構堪能した。特に桜満開の鴨川やチラッと出てきた高瀬川、嵐山の桂川にかかる渡月橋といった川周辺の景色は綺麗だった。それから最後のシーン。原作の表紙を意識した5人での大通り横断シーン。(原作表紙は4人だったが) 後方に見える八坂神社が原作表紙よりもはっきり写っていて、これはこれで素晴らしいと思った。

そういえば、居酒屋「べろべろばあ」のオヤジが何で苦しんでたのか分からん。


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