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zakky's report

ネタバレ上等ブログ

 

ザ・万遊記


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前作『ザ・万歩計』ほどの衝撃はなく、ちょっと落ち着いた印象か。。。 それでも随所に光る万城目節は健在だ。

この人はエッセイも小説もどちらも面白い。中身は結構くだらないことを書いているのに、テンポがいい文体からは知的なものを感じさせる。不思議な文章を書く人だと思う。

何も読む気になれない時でも、この本を手に取るとすぅーっと入り込めるから不思議だ。

前作『ザ・万歩計』のレビュー ザ・万歩計 - zakky's report


ザ・万遊記 (集英社文庫)
万城目 学
集英社 (2012-05-18)
売り上げランキング: 73,882


(「BOOK」データベースより)
万城目学が、世界を日本を駆けめぐる。北京で五輪を堪能し、ロンドンでサッカーの醍醐味を味わい、バルセロナで不遜にもピカソに共感!?全国の湯治場でアキレス腱のリハビリに励み、国会議事堂で大物代議士をちらり見する…。世界のあちらこちらでの驚きや感動を綴ったエッセイ集。

ドラマ『鹿男あをによし』の打ち上げ会場の現場リポートから始まる。玉木宏、綾瀬はるか佐々木蔵之介多部未華子といった豪華出演者らに混じっている状況が生々しく伝わる懇親のリポートだ。本人曰くいたく場違いで夢のような夜だったといいつつも、玉木宏から「ぬぉい」とツッコまれたり、なかなか溶け込んでたのでは?と思った。ドラマの出演者から見て、原作者っていうのはどういう位置づけなんだろうか??? と、ふと思った。

全体としては、「万太郎がゆく」と題したスポーツ観戦コラム、「今月の渡辺篤史」と題した『渡辺篤史の建もの探訪』という長寿番組の考察コラムというか篤史ラブコラム、それ以外という3種類に分かれる。

「万太郎がゆく」はスポーツ観戦をしつつ温泉湯治にも入るというよく分からん企画なのだが、なんとこのコラムの最中、それも始まって間もなくフットサルでアキレス腱をさっくりやっちゃった万太郎。読んでるだけでも、うわぁぁぁって感じの痛みが伝わるような内容だったが、本人は痛みを感じなかったのだとか。度を越えた痛みは脳がその情報を遮断するらしい。 で、コラム中止と思いきや、なんとこのアキレス腱断絶を治療しながらコラムを続けることに。。。 湯治も兼ねるわけだからちょうど良さげではあるが。。。

このスポーツ観戦はサッカー、野球をメインに国内国外さらには北京五輪まで観戦するという豪華な内容。試合内容よりもその周辺の情報がメインだが、バルセロナのクラシコ観戦記やアーセナルマンUの試合なんかは臨場感溢れるスタジアムリポートだったと思う。10万人のブーイングとか、応援しているチームや選手にもブーイングとか、日本では考えられないくらい観戦者のレベルが高いようだ。

次に「今月の渡辺篤史」についてだが、、、渡辺篤史も番組もよく知らないので何とも、、、という感想。正直どうでもよかった。。。

それ以外のエッセイでは、「小公女」「しずお蚊」「万城目学の国会探訪」あたりは面白かったと思う。後は「バルセロナのピカソ」「資格」なんかも考えさせられたかな。でも、一番印象に残っているのは「室伏の夢」の話。これは著者本人が実際に見た夢の話なんだが、夢に出てきた上司が室伏に関する豆知識を披露したという。この知識は上司ではなく著者自身のもののはずだが、著者が普段認識している知識ではないという。つまり、著者の知能レベルを客観的に把握した上で、夢全体を構成するさらに上位の知識が上司を演じていたという深い話。なるほど。。。

あと軽くヒットしたのが「世界のことば」のアメリカでの話。ホームステイ先の主人に大阪の人口を聞かれ、200万人と答えるのに、1万=ミリオンと勘違いしていて200ミリオン(=2億人)と答えてしまった話。ご主人「へえ、大阪はスゴイ街だなあ!」って、、、都市の人口が億単位だったら確かにスゴイけど気づくだろ。。。 日本の人口超えちゃってるし、、、アメリカの人口の半分を超えてるし、、、 これは結構笑えた。

前作に比べると大人しい感じだった。前作中のイチオシエッセイ「御器齧り戦記」を超える爆発力はなかったが、繰り返し読むとまた違った味が出てきそうなエッセイが多かったんじゃないかと思う。


ザ・万歩計 (文春文庫)
万城目 学
文藝春秋 (2010-07-09)
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渡辺篤史の建てもの探訪BOOK (アサヒオリジナル)
渡辺 篤史
朝日新聞出版
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