ザキレポ

ネタバレ上等ブログ

拝金

ホリエモンこと堀江貴文氏の初の小説。

ノンフィクションとはいえ、よくここまで書いたなという印象。登場する企業名や人物名が実在の名前を文字っただけで、出来事や事件についても実際に起きたことばかりなので、「本作品はフィクションであり、実在の個人・団体などとは関係がありません。」という断り書きが笑えてしまう。

個人的には充分楽しめた。

拝金
拝金
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堀江 貴文
徳間書店
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(「BOOK」データベースより)
「藤田優作、君はどのくらいの金持ちになりたい?」「そうだな、金で買えないものはない、そう言えるくらいかな」「わかった。それでいこう」年収200万円のフリーター・優作はなぞのオッサン・堀井健史と握手を交わした。そこから彼の運命は大きく変わる。携帯ゲーム事業を成功させ、さらにあらゆる金融技術を駆使。瞬く間に会社は売上500億円の大手IT企業に変貌する。人はそれを「ヒルズの奇跡」と呼び、勇作は一躍時代の寵児に。快進撃はさらに続くかに思われた―オッサンの無謀なミッションが下るまでは。金とは、勝者とは、絆とは?感動の青春経済小説。

主人公藤田優作がオッサンこと堀井健史と出会い、金持ちになる契約を結ぶことでストーリーが動き出す。オッサンから出資を受け、企業の指南や指示を受けて、IT企業を興す。さらに創業から株式上場、M&Aを経て巨大コングロマリット企業への躍進、そして、球団買収騒動や放送局買収を経て、東京地検特捜部の強制捜査で逮捕されるまで、まるで著者自身が辿った道筋をそのまま追体験するかのようなジェットコースターストーリーだった。

登場人物や企業名が全然ノンフィクションになってないのが笑えた。売天の三木山、ハイパーエージェントの藤井、MUSENの宇田、山村ファンドにハードバンクの朴、、、 旭日テレビの番組「朝まで生討論」の司会者は、人を怒らせて本音を引き出す話術が得意な田村宗太郎。そして、球界のドン、日の丸新聞の多田常夫、通称タダツネ。 これで実際に起きた事件を辿っておいて、フィクションですとかって、、、アリなんだろうか?

そういったストーリーだけでも一見の価値アリなんだけど、随所に散りばめられるウンチクネタも楽しめた。

まずは鳩ボール。よく公園とかで鳩に餌をやるときに食パンを千切ってあげたりするけど、あれを千切らず、丸ごと1枚あげるとどうなるか。鳩が食パンに群がりボールのようになるという。それだけ聞くと楽しそうなんだけど、これがかなり凄惨な現場になるらしい。鳩は食パンに喰らいついても、丸ごとなので食べられないでまごつく、そんな第一陣の鳩たちがまごついてるところに第二陣、第三陣の鳩たちが次々と覆いかぶさり、てんやわんやの大騒ぎ。羽が飛び散るだけならまだしも、死んじゃう鳩が出ることも。。。 本当かどうかは分からんけど、これが鳩ボールだと。 ちなみに、オッサンが多数の若者から藤田優作を見出したのも、若者相手に鳩ボールまがいのこと(といってもそれほど凄惨な現場ではない)をして、その輪に入らなかった優作をターゲットとした経緯があったりする。

あとは猫と山猫、犬と狼の違いの話。ライオンやトラもだけど、耳が丸いのは生肉しか食べられず、耳が三角になると野菜も食べられるようになり、人にもなつくようになるんだとか。旧ソ連の動物実験で、本来は人にはなつかないキツネの中から比較的人になつくキツネを集め、そこから累代して人懐っこいキツネを作ろうとした話。何世代かすると口笛で近づいてきたり人懐っこくなった代わりにキツネの特徴である毛がボロボロになり、耳もたれてしまったというオチ。

そして、今、宇宙開発に携わっている堀江氏らしいウンチクも。旧ソ連の宇宙開発天才技術者、通称ミスター・チーフデザイナーの話。冷戦時代に宇宙開発競争にてソ連の後塵を拝したアメリカはソ連の宇宙開発の背後に見え隠れする天才技術者を調査した。しかし、CIAの調査能力をもってしても存在は確認できても通称ミスター・チーフデザイナーしか分からず、名前は掴めなかった。そしてソ連崩壊後にその人物セルゲイ・コリョロフの名が宇宙開発の世界に知れ渡るようになる。コリョロフについてはこちらが詳しそう。→『Space Race 宇宙へ ~冷戦と二人の天才~ 』 ちなみに優作のビジネスに暗躍するオッサンは、自らをミスター・チーフデザイナーと呼ばせていた。

あとはウンチクではないが、通称サルと呼ばれる「女」の仕出し屋の話も本当かどうか分からんが、妙にリアル感が。。。 要求元のランクとオーダー内容によって女子大生やらグラビアアイドル、CAなどの女性を見繕い、場所までセッティングするという人物。本当なのかどうなのか、、、グラドルの下乳は寄せて上げるためのガムテでかぶれているとか、レースクィーンパイパンだとか、著者の経験が滲み出ている気がする。。。

最後にオッサン直伝のビジネス初心者4カ条を。

・元手はかけない。
・在庫ゼロ。
・定期収入。
・利益率。

うーん、当たり前だ。けど、その当たり前が難しい。


お金はいつも正しい (双葉文庫)
堀江 貴文
双葉社 (2012-08-09)
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