zakky's report

ネタバレ上等ブログ

穴 HOLES


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1999年度のニューベリー賞(世界最初の児童文学賞)受賞作品。

どこかのブログか、雑誌か、忘れてしまったが、この小説が絶賛されていたので読み始めたが、前半途中まではイマイチ良さが分からない状態。

ところが徐々に現在と過去のストーリーがリンクし始めて、これはもしや、、、伊坂幸太郎がよくやる方式では? と思い始める。なるほど伊坂作品も最初はとっつきにくかったが、あの豊富な伏線やリンクで中毒になったっけ。この作品を面白く感じるのは多分そういうところなのかな、と思った。

それから主人公の成長の過程が『千と千尋の神隠し』的な感じでこれもウケがいい理由かも。最初はダメダメな少年が理不尽な仕打ちにも立派に立ち回る様になり、よくぞここまで成長した、、、みたいな感じもよかった。

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(「BOOK」データベースより)
無実の罪で少年たちの矯正キャンプに放りこまれたスタンリー。かちんこちんの焼ける大地に一日一つ、でっかい穴を掘らされる。人格形成のためとはいうが、本当はそうではないらしい。ある日とうとう決死の脱出。友情とプライドをかけ、どことも知れない「約束の地」をめざして、穴の向こうへ踏み出した。

まずい時にまずいところに居合わせてしまうがために、いつも損な思いばかりをしてきたスタンリー・イェルナッツが主人公。ちなみに名前の Stanley Yelnuts は前から読んでも後ろから読んでも同じ。そう回文になっている。先祖代々が気に入ってこの名前を使用しており、主人公のイェルナッツは四世とのこと。

このスタンリーがある日歩いていると、突然使い古されて臭いもキツいスニーカーが降ってくる。そのスニーカーが有名プロ野球選手のもので近くの施設に展示されていたものだったために彼は窃盗の疑いで逮捕されてしまう。

無実の罪で収容されたのはグリーン・レイク・キャンプという更生施設。レイクと言っても湖は干乾びてしまっており、水なんて全くない荒野だ。そこでスタンリーは毎日穴を掘ることになる。乾燥しきったカチカチの土地、しかも炎天下、深さも直径も1.5mの穴を掘るというのは大変な重労働だ。しかしこれが少年たちの更生の手段なのだ。と思わせつつ、実は違った。所長は何かを探していたのだ。そのために更生手段と偽って少年たちに穴を掘らせていたのだった。

グリーン・レイク・キャンプの少年たちは理由はよく分からないが、互いにニックネームで呼び合っている。イカ、脇の下、X線、ジグザグ、ゼロ、、、とちょっとヘンテコなネーミングセンス。確かスタンリーの前にいた少年のニックネームはゲロ袋だったかと。。。 ちなみにスタンリーには原始人というニックネームがついた。そんな少年たちはそれぞれ罪を犯して収容されただけあって、一癖も二癖もあるやんちゃな奴らだ。スタンリーに濡れ衣を着せたりすることもあったりして、でも根はいい奴らだ。最後はスタンリーの出所を我が事のように喜んで祝福してたし。

物語はこれだけではなく、ところどころに過去のストーリーが挿入されている。まずはスタンリーが損な役回りをする発端となった「あんぽんたんのへっぽこりんの豚泥棒のひいひいじいさん」のエリャ・イェルナッツの話。それと「あなたにキッスのケイト・バーロウ」とタマネギ売りのサムの悲恋の話など。これらの話がスタンリー(四世)の世代の話とリンクしてくる。

後半はキャンプで知り合った少年ゼロとの冒険ストーリーとなる。ゼロは当初無口だったが、スタンリーのスニーカー泥棒の濡れ衣の話を聞いてから急に話をするようになる。スタンリーがゼロに文字を教えたり、ゼロがスタンリーの穴掘りを手伝ったりして親交を深めるが、その結果、少年たちの間で不穏な空気が流れ出す。新入りのスタンリーが穴掘りを休んでいるのが気に食わないのだ。

そんないざこざがあり、ゼロがキャンプの指導員と揉めてキャンプを飛び出してしまう。キャンプの周囲は広大な荒野が広がり、とてもじゃないが無事ではすまない。スタンリーは自らの危険を顧みずにゼロを追うことにする。そして瀕死のゼロに追いつき、飢えと乾きで餓死寸前のところで水が豊富に湧き出る場所へとたどり着く。そこはタマネギも自生していたり、岩の形が親指を立てた形に見えたりして、過去のストーリーとリンクしていることが分かる。

そして、この冒険の中でスタンリーがゼロを背負って移動するシーンがあるのだが、計らずもこれによって先祖代々受け継がれてきた呪いが解けたことになる。実は呪いの発端はスタンリーの祖先のエリャがゼロ(実は本名はヘクター・ゼローニ)の祖先のマダム・ゼローニを運んであげるという約束を破ったためであり、これを何代も後の子孫が果たしたために呪いが解けたという話。

呪いが解けた途端、これまでの損な役回りは一転する。最後はスタンリーの弁護士が所長の悪事を暴き、スタンリーとゼロはキャンプを出られることに。さらに父親(スタンリー・イェルナッツ三世)の事業も成功してメデタシメデタシとなる。

最初のスタンリーのダメダメっぷり、損な役回りっぷりがあるからこそ、最後はスッキリ爽快な気分を味わえる。まぁ、なかなかよかった。


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