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徹底抗戦

最近自分の中ではHOTなホリエモンこと堀江貴文。『拝金』が思いのほか良かったのでこちらも読んでみた。

本書は一連のライブドア事件について堀江被告側から見た見解説明といった内容になっている。ここに書かれていることが真実なら、なぜ彼は逮捕されたのか??? と思ってしまうような内容だ。しかも彼独特の非常に論理的な説明を読むと、確かにそうだよなぁ、、、と思ってしまう。逆に検察側の話の道筋がおかしいと感じてしまうのだ。

でも相手は東京地検特捜部。真相はどうであれ、結果として有罪は免れないのでは?と思ってしまう。。。

徹底抗戦 (集英社文庫)
堀江 貴文
集英社 (2010-10-20)
売り上げランキング: 161,146


(オンライン書店ビーケーワンより)
「虎の尾」を踏んだニッポン放送株買収と衆院選出馬、逮捕そして勾留、検察と徹底抗戦…。逮捕から3年、ライブドア事件の真相をホリエモンがついに告白する。

まずは逮捕に至るまでの「虎の尾」を踏んだ話。フジテレビとニッポン放送の奇妙な関係を会社四季報で見つけ、MSCB(転換価格修正条項付の転換社債新株予約権付社債)による800億円もの資金調達を経て、ニッポン放送株買収に乗り出すまでが明かされる。

さらにその後の衆院選出馬。この時は自民党サイド(公認ではない)から広島6区での出馬で、あの亀井静香の対抗馬となる。自民党も太刀打ちできない相手ということで、地名度があって、党公認はしない堀江氏をあてがうのが自民党としては一番良かったのだろう。堀江氏曰く、一番厳しいところでやりたかった、というのもあるらしいが、あの亀井氏に善戦したことを考えると、普通の選挙区なら当選していたのではないだろうか。 まぁ、堀江氏が衆議院議員になっても、多勢に無勢でライブドア社長のような大きなことは難しかったんじゃなかろうか?

そして、その先に見据えていたのは何とソニーの買収だった。ニッポン放送株買収から始まるフジテレビ騒動で1000億円もの軍資金を得ており、ソニー買収も夢物語ではなかった。 が、ここで本人曰く青天の霹靂が起きる。東京地検特捜部による強制捜査と堀江社長を始め、ライブドア幹部数名の逮捕である。

株主被害も顧みずに突然の強制捜査に踏み切った検察。しかも市場混乱必至の月曜日の強制捜査。この辺りは明らかにおかしいと感じる。株主被害を増幅させ、その責任すらも堀江氏らに押し付けようとする意図が垣間見える。

また、野口英昭エイチ・エス証券副社長の自殺もマスコミにセンセーショナルに報じられた。堀江氏との関連や暴力団絡みなど、いろいろ報じられていたが、どうやら野口氏自身がインサイダー取り引きらしきことに手を出し、後に判明する宮内氏らの横領疑惑にも関与していたらしい。そして堀江氏によれば、この野口氏の死によって、一連のライブドア事件は堀江氏主導で行われたという特捜部のストーリーがさらに立てやすくなってしまったらしい。

さて、逮捕後の拘置所での話も生々しい。東京拘置所で堀江氏の独房があったフロアには、オウム真理教関係らしき人、福永法源らしき人、はたまた死刑囚の部屋もあったりしたらしい。また、堀江氏ほどの人でも特捜部の延々と続く取調べには参ったらしく、特に無意味で世間話のような取調べでは、さっさと有罪にして刑務所に放り込んでくれと堀江氏の方がキレたりしたとか。そんな精神状態の中、ライブドア社員らによる色紙寄せ書きに嗚咽するほど泣いたエピソードなんかも入っている。

結局、彼の勾留期間は3ヶ月以上と長期に渡ることになる。堀江氏は自分は犯罪を犯していないという信念の元、容疑をかけられている罪を一切認めてなかったからだ。途中、勾留日数が40日を超えた辺りから精神的に追いつめられ、保釈を認めてもらうために罪を認めそうになったとか。。。 よく痴漢冤罪で逮捕されて、罪を認めないがために長期勾留されるという話があるけど、まさにそれかと。『それでもボクはやってない』を思い出してしまった。

続いて保釈後の話へと進んでいく。長期勾留の影響もあり、保釈後はしばらく対人恐怖症だった堀江氏。 保釈中ということで、ライブドア関係者には近づくことができなかったり、逆にこれまでとは違う趣味に励んだり、最近は自分の元々の夢であった宇宙事業にも参画している。

本書では検察庁の特捜部や特別刑事部といった捜査機関の恐ろしさについて何度も言及している。捜査権限と起訴権限の両方を併せ持つ国内唯一の組織であり、検察官の胸三寸で事件化されるかどうかが決まってしまうところが非常に危ういと。つまり自分達の捜査の正当性を保つために無理やり起訴する可能性が高いということだ。起訴されればほぼ有罪になる日本の司法制度では、検察庁に目を付けられたら有罪となる可能性が高い。陸山会の収支報告書不記載疑惑で東京地検特捜部から捜査を受けている小沢一郎衆議院議員が今後どうなるのかも気になるところだ。

堀江氏には実刑判決の可能性が残っているが、というか、一審二審共に実刑判決なワケだが、懲役についても触れている。どうやら受け入れ刑務所が決まるまで、また東京拘置所で無為な時間を過ごすことが一番の恐怖らしく、むしろ刑務所での普通の懲役の方がいいらしい。よく禁錮刑で刑務作業はしなくてもいいのに、多くの禁錮受刑者が刑務を願い出るというアレと同じ感覚かと。

それから最後に日本テレビ記者の木下黄太氏が『拝金』のサルとかぶる。堀江氏曰く、サルは複数の元ネタが合成されたキャラらしいので、多分そのうちの一人じゃないかと思う。ちなみに堀江氏はライブドア事件の取材のゴタゴタで木下黄太氏にはかなりムカついているらしい。


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