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口ベタでも人を動かす 魔法のプレゼン

ここ数年、業務の関係でプレゼンの機会が減っていたんだけど、またプレゼンする機会が増えそうな予感、、、ということで、この本を読んでみた。

帯には「プレゼン世界一」「13000人絶賛」「決して悪用しないでください。」など、、、スゴイことが書かれていたが、中身は結構普通、というか王道。 まぁ、この帯のキャッチコピーこそが、さすがプレゼン世界チャンプってことなのかも。

構成はさすがに分かりやすく工夫されてて、各章の最後にアクションプランと題した簡単なまとめがあり、また、巻末にも「これであなたもプレゼンマスター」という本書のまとめ的なものがあるので、非常に理解しやすいし、後で読み直すのにも親切。この構成法も本書で語られているプレゼンの極意の一部だったりする。

書かれていることは結構当たり前のことが多い。恐らく、その当たり前のことをきちんと理解し、習得し、実施している人はかなり少ないのかもしれない。

口ベタでも人を動かす 魔法のプレゼン
山田 進一
あさ出版
売り上げランキング: 67,933



(「BOOK」データベースより)
プレゼン世界一の男が教える13200人が絶賛のワザ。3分で100億円売り上げる、本物のプレゼンの力を感じてほしい。あなたのプレゼンが見違える!パワーポイント40のテクニック集つき。

まず本書のタイトルにもあるように、「人を動かす」ことがプレゼンの最大目的として設定されている。つまり、プレゼンってのは単に理解してもらって、感動してもらって、、、だけじゃダメで、その先に聞き手の行動が伴わないと意味がないと。まぁ、そりゃそうだ。

プレゼンとは聞き手の抱える課題の解決策を提示するもので、そのためには聞き手を深く理解する必要があり、その上で自社の強みが聞き手の重要な決定要因になるように設定するのだと説いている。当たり前のことなのだが、これを理論としてきっちり理解している人は意外と少ないのかもしれない。理解していない人でも時間的余裕があれば結果的にこの方向で進んでいくことが多く、何となく上手く行っちゃったりもする。だけど、そういう人は余裕がない時は大失敗してしまう。

そして、この一連のパターン(聞き手を理解して、行動してもらう)を実現するために著者は以下の手順を説明している。


聞き手を理解して、行動してもらうための手順

1.聞き手を深く理解→SCマップ(Six Circle Map)
「聞き手」を中心に「顧客」「パートナー」「競合」「社内」といった要因とそれらを包含する「環境」を含めた6つの要因について検討することで、聞き手を深く理解するツール。

2.聞き手に期待する行動を適切に設定→BSBの法則
Breakdown(行動を小さく分解する)、Specific(行動を明確にする)、Bias(行動せざるを得ないように圧力をかける)という手順を踏むことで聞き手の行動を促す。

3.聞き手に行動してもらう→TAPSフレームワーク
理想(To Be)と現状(As Is)の間に挟まれた課題(Probrem)について、その解決策(Solution)を提示する。

このようにいろんなツールやらフレームワークやらを提唱しているのだが、実はこれも当たり前のことが多い。ただし、これを敢えて明確に系統立てたことに意義がある。

ただ、仕事効率を上げるコツがマウスを使わずキーボードショートカットで作業するってのはちょっと拍子抜け。まぁ、確かに格段に早くなるのは間違いない。ただ、著者のようにパワポを日々使いまくる人ならともかく、たまにしか使わない人には覚えるのが辛いと思う。このトピックを大々的に扱うならもう少し万人向けのテクニックにして欲しいと思った。

本書で一番参考になったのは効果的なストーリーを組み立てる12のテンプレート。これもいくつかは使った経験もあるのだが、そのうち忘れてしまったり、また思い出したり、、、といった感じで、こうやって系統立ててまとめられていると非常に使いやすい。

効果的なストーリーを組み立てる12のテンプレート

1.関係者
提案内容は関係者にどんな影響があるのか、という視点で説明
例)新人事制度が従業員、管理職、人事部、経営層といった関係者にどのような影響があるのか?

2.時間
過去、現在、未来といった時間軸に沿って説明
例)ある商品のラインナップを5年前にの商品、現在の商品、来年発売予定の商品について説明

3.地理的
日本各地、世界エリアごとに説明
例)事業展開の戦略を国内では東京と大阪に関して、海外ではアメリカ・アジア・ヨーロッパといったようにエリアごとに説明

4.業務プロセス
業務プロセスに沿って、どんな影響があるのかを説明
例)新システム導入に伴い、業務プロセスである申請/承認/精算に沿って、どんな影響があるのかを説明

5.事例
他社事例といった軸に沿って説明
例)情報システム業界における、研修の実績や経験を導入企業の事例に沿って説明

6.課題→解決策
現状の課題を提示し、その解決策を説明
例)「利益率の悪化」といったお客様の課題を提示し、その解決策として「販売管理費削減のための業務プロセス見直し案」を説明

7.質問→回答
まず質問をし、それに対する回答を説明
例)まず「プレゼンにおける重要なポイントは何だと思いますか?」と質問して、それに対する回答を説明

8.特徴→メリット
特徴を提示し、それのメリットを説明
例)新商品の特徴「軽さ」を提示し、そのメリットとして「携帯性向上」を説明

9.基本→オプション
基本案を提示した上でオプション案を説明
例)マーケティグプランに「新聞広告案」を基本案として提示して、オプションA案「TV広告」とオプションB案「インターネット広告」を説明

10.対比
自社と他社など二つの事柄を対比して説明
例)インターネット業界のビジネスモデルをテレビ業界と対比させながら説明

11.マトリックス
様々なパターンをマトリックスで説明
例)書籍購入者の傾向を年代と職業のマトリックスで説明

12.番号
ストーリー化が難しい場合、内容に番号をつけて一番目、二番目、、、と説明
例)契約内容に化する提案書で①対象範囲、②期間、③体制、④納品書、⑤費用、と順番に説明

と、こんな感じでプレゼンをある程度やってきた人なら概ね知っていることが大半。でもそれらが系統立ててまとめられているので、知識の再確認といった感じで使うにはかなりの良書だと思った。もちろん、プレゼン初心者ならぜひ読んでおきたいところだ。


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