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zakky's report

ネタバレ上等ブログ

 

無限ループ


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謎の女子高生ヨーコから怒りの度合いによって相手から金を奪い取れるという不思議な箱(通称シルバーボックス)を入手し、それによって多額の金を得て、そしてそのせいで身を滅ぼすという破滅系ストーリー。

他人から突然特殊能力を授かり、そして同じ能力を持つ者が現れるパターンは乾くるみリピート』や映画『ジャンパー』を思い出した。

ストーリーとしては面白いのだが、リアリティがなさすぎなのが辛い。シルバーボックスという反則技的な存在を許す代わりにせめて他の部分にはリアリティを持たせて欲しかった。

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(「BOOK」データベースより)
深夜の歌舞伎町。平凡な会社員の誠二は謎の女子高生から物を買う。それは、手を置くだけで怒りの度合いに応じて獲物の財産を奪える恐るべき箱だった。夜の銀座で金持ちを物色する彼は、しだいに狂乱の世界と運命の女に翻弄されていく。誠二が見た「無限ループ」とは?人間の欲と愛を描いた傑作ミステリー。

システム開発に携わるごく普通のサラリーマン誠二がある晩、謎の女子高生ヨーコと出会う。出会いからして唐突過ぎるのに、さらに唐突に誠二はヨーコからシルバーボックスを買うことになる。

このシルバーボックスは誠二の自宅の押入れに動かせないように直付けされ、この箱に誰かへの怒りを念じると、その怒り度合いがシルバーボックスにパーセント数値で表示される。と同時に、その怒りの対象者の全財産(といっても全資産ではなく現金・預金の財産のみ)から表示されたパーセンテージ分の現金がシルバーボックスの脇に現れる。当然、怒りの対象者の現金や預金はそれに応じて減ってしまう。よく分からないが、現金であれば突然消えるし、銀行の預金であれば、そもそもそんな預金はなかったことになってしまうという。

まぁ、そんな何でもアリ設定の物語なので、せめて他の部分にリアリティを持たせて欲しかったが、出会いや入手の経緯があまりにも唐突で、ストーリーとして面白みに欠けると思った。

そんなシルバーボックスを使って金を稼ぎまくるワケだ。職場の上司やオフィスのアイドル的存在の女性社員、無限ループプログラムを押し付けてきた後輩社員から始まり、汚職政治家やひいきのアイドルに売春させた芸能事務所社長、誠二を騙した銀座のママ、、、と次から次へと怒りの対象を移して、奪った額は10億円を越した。

稼いだ金で銀座で豪遊という何ともありがちなストーリー展開で、銀座のホステスかすみと出会う。かすみはつい最近夫と死別したばかりで、幼い息子を抱えたバツイチだったが、誠二は彼女も子どもも幸せにすると誓い、二人は結ばれる。

が、すごく世界が狭くて、一見関係なさそうな登場人物があっちこっちで繋がってて、それが元で、どうやらかすみの元夫を死に追いやったのが誠二であることが判明。しかも、実は誠二同様シルバーボックスの所有者だったかすみにも、その事実が分かってしまい、誠二とかすみの憎しみ合い、つまり、シルバーボックスでの現金奪い合いとなる。誠二が怒ればかすみから誠二に現金が移動し、かすみが怒れば逆に誠二からかすみに現金が移動する。その繰り返しの無限ループだ。で、回数を重ねる毎に怒り度合いを表す数値は上がっていくのだが、シルバーボックスのタイプによってはこの数値がある値を超えると爆発を起こし、命を落とすという。どんどん上がる数値、でも現金が奪われたままでは困るので、またやり返す。そんな爆発ギリギリでのチキンレースは結局お互い引かず、かすみの方が爆発し、かすみも息子も命を落とす結果に。。。

そして誠二もかすみを死に追いやった自分自身に怒りを感じ、その状態でシルバーボックスを発動させてしまう。すると、誠二の現金が消えては現れ、また消えては現れるという無限ループに入ってしまう。その無限ループから逃れる術はなく、自らの死を持ってループを終了させることになる。。。

実際にプログラムが無限ループした場合、プログラムがオーバーフローを起こして落ちるか、プログラムを無理やり止めるか、それができないならPC自体の電源を落とすくらいしかないかと。かすみが命を落としたのはオーバーフロータイプで、誠二が自ら死ぬことで止めたのは、PC自体の電源を落とすタイプに当てはまるのかと。プログラムを無理やり止めるのに該当するのはシルバーボックスを壊す方法だが、これは無理なのかな?

ま、とにかく無理やりストーリーで、ヨーコの正体もよく分からんままだし、なんか消化不良に終わった。

あと、シルバーボックスを裏技的に使ったことで、徳ノ側(かすみの元夫)が命を落とした原理も分かりにくい。本来は怒りを注入すべきシルバーボックスに浜口(学生時代にお世話になった先輩)への哀悼の念を注入した結果、浜口に直接金を貸していた徳ノ側がシルバーボックスの餌食になったらしい。何故かは分からんが。徳ノ側が浜口に貸していた5000万円はチャラとなり、さらに不足分の5000万円を生命保険から穴埋めするために徳ノ側の心臓を止めた、という原理らしい。うーん、やっぱり分からん。 誠二もかすみもこのワケの分からん原理をちゃんと理解して憎しみ合っていたのだから、まぁ、そういう原理なんだろう。。。

で、結局、ヨーコが何者かも分からんまま、ほとんどが消化不良のまま終わってしまった。。。

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