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絶滅危惧の昆虫事典

絶滅危惧種の昆虫を紹介する辞典。環境省が絶滅の危機にある昆虫についてまとめたレッドデータブック掲載の566種のうち100種をピックアップして説明している。

乱獲、土地の開発、気候の変化、天敵の移入など、、、人間が原因で絶滅の危機に瀕している昆虫がいることを、昆虫愛好家としては忘れないでいたい。

絶滅危惧の昆虫事典
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(「BOOK」データベースより)
昆虫抜きで生物多様性は語れない。昆虫とその生息環境がいかに多様性に富んでいるか、それがどのように維持され、どのように失われてきたかを知る必要がある。レッドデータブックより100種類をピックアップし、詳しく解説。

気になるクワガタムシ科からは準絶滅危惧のミクラミヤマクワガタ、オオクワガタと絶滅危惧Ⅰ類のヨナグニマルバネクワガタの合計3種が掲載。

中でも気がかりなのはミクラミヤマクワガタ御蔵島神津島に分布するが、元々は日本本土にもいたがヒキガエルに駆逐されてしまったという仮説があるとのこと。ところが近年、御蔵島と定期船でつながっている三宅島にヒキガエルが侵入してしまったらしい。一説によると小学校の教諭が教材用に持ち込んだオタマジャクシが野外に放たれ、天敵のいない三宅島で繁殖してしまった可能性があるという。先の仮説と合わせると、ミクラミヤマクワガタの危機につながるのは容易に想像できる。せっかく採集制限をかけてもこんな形で絶滅してしまったら悲しすぎる。。。

また、ヨナグニマルバネクワガタは絶滅危惧Ⅰ類ということで絶滅の危険度がかなり高い。与那国島はマルバネクワガタ生息地で唯一ハブがいないことで、人間による採集圧が激減の原因らしい。

コガネムシ科からもダイコクコガネをはじめ計5種が掲載されていた。ちなみにダイコクコガネなどの糞虫は牧畜産業の衰退により厳しい環境を強いられているようだ。

今のように交通網が発達して高度文明化した人間社会は、生き物の生態系や地球の気候などに影響を与えないワケがなく、こうした種の絶滅も回避できないものもあるとは思う。また人間の生き方が変われば、それも致し方なしという見方もあるとは思う。全世界に80万種、見つかっていない種や同定できていない種を入れると100万種を超えると言われている昆虫。それでも実際に種が絶滅してしまうことは悲しいことで、そういった事実を知っているべきだと思う。

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