アルファブロガーとして有名な小飼弾氏の新書啓蒙書。さらには”生き残るため”の読書術啓蒙書です。10冊で思考が変わり、100冊で行き方が変わる読書術。スゴイ!
新書というと何となく普通の本よりは安いけど文庫本よりは高い、、、みたいな中途半端なイメージでしかなかったが、この本を読んで「新書」のイメージがガラっと変わった。その上、新書読みたいモード全開になった。
専門性の高さとコストパフォーマンス、そして何よりも凝縮された専門知識。これまで中途半端だと思っていた新書が、実は一番いいとこ取りなんだということに気付かされた1冊。
「ベスト新書」レーベルからこのタイトルで出したのは、まぁ狙い過ぎな感じがしないでもないが、やっぱりベストなんだと思う。
(「BOOK」データベースより)
本の選び方に正解なんてない。全部読もうとしなくていい。コツをつかんで「たかが読書」と思えるようになれば、知的レベルは自然と上がっていくのです。そこで最適なのが、新書。どんどん「つまみ読み」して脳内マップを広げていけば、他の本なんて読まなくても十分です。もはやウェブ抜きの読書はありえない時代。莫大な情報を誰でも簡単に取り出せるからこそ、読み方を変えないと「情報弱者」になってしまいます。新書というツールを最大限に生かす方法、人と差がつく選び方、楽しみ方をゼロから教えます。
ハードカバーは滅びてしまえ!とか普通に書いちゃってるけど大丈夫なんでしょうか。。。 なんでも著者に言わせればハードカバーの意味合いは、俺ってこんな分厚い本を読んでんだぜ、すごいっしょ!的な達成感のためでしかないんだとか。確かに通勤電車の中で読むにはちょっと大きすぎるし、カバンもふくれるしでいいとこないんだけど。あ、、、だんだんハードカバーがダメに感じてきた。。。
ま、著者もハードカバーにもいい本があることは認めてます。値段相応の価値があるスゴ本が2割、どうしようもないダメ本が2割、あとの6割は毒にも薬にもならない普通な本。これも著者に言わせりゃダメ本に分類されちゃいます。結局スゴ本とダメ本の割合は8:2のパレートの法則になっちゃいます。
さて、そんなわけで小飼氏の教える生き残るための新書の読み方なんですが、これもすごい偏ってます。生き残るためには多様な考え方を取り入れて、自分なりの「知の体系」を築く必要があるんだとか。そのためにはネットやメディアにダラダラ垂れ流されているプッシュ情報ではなく、自分が選んで引っ張ってくるプル情報が有用。それには本が一番だと。グーグルで検索するのもプルなんだけど、本は良い意味で情報が偏っているのがいいだとか。なるほど。
そして、コレだ!と思った新書を手にしたら、いきなり読んじゃダメなんだなこれが。まずは目次をじっくりと読み、タイトルから内容を想像してみたり、いろんな妄想を働かせることが大事。自分の考えと著者の考えの差分を取ることで本が面白く読めるんだとか。うーん、深い。
そうはいってもどんな本をチョイスすべきか? これについても小飼流チョイス術が書かれていました。脳内マップを埋めていくようにチョイスすべしと。さらっと書いてますが、300冊くらい読めば脳内マップが見えてくるからそれを埋めろと。。。 え? 300冊読むまではどうすりゃいいんだ? 困った。
何か知識を得たい分野があったら土台となる主役1冊を見つけ出し、それと関連する新書9冊を合わせて10冊読むのがいいんだとか。確かに1冊をじっくり読むよりも10冊を斜め読みした方がにわか専門家になれるというのは納得。
他にも「新書を10倍生かす方法」として10パターンの新書読書法を紹介している。特に印象に残ったのは「疑うことを楽しむ」というヤツ。”ニセ科学本”を疑いながら読むというのは確かに面白そうだ。ただ、当然ながらニセ科学と分かってないとダメ本ならぬダメ読者になってしまうのが難しいところ。
そして本書の大半を割いての「新書レーベルめった切り!」では、老舗から新興勢力まで多数の新書レーベルにそれぞれ分かりやすいサブタイトルをつけている。これがなかなか面白い。
せっかくなので全部挙げとく。
・新書スタイルはここから生まれた「岩波新書」
・じっくりと時間をかけて仕上げる「中公新書」
・社会派老舗の風格「ちくま新書」
・目の付け所が光る「光文社新書」
・新書ブームをつくった「新潮新書」
・クリーンヒット率の高い「幻冬舎新書」
・節操のなさが強みでもある「PHP新書」
・すぐれた海外翻訳モノ「ハヤカワ新書juice」
・科学系新書の元祖「ブルーバックス」
・カラーと図版の勝利「サイエンス・アイ新書」
・ハズレ率の驚異的な低さ「DOJIN選書」
・右寄りと左寄りで好対照「集英社新書」「文春新書」
・コンセプトが迷走?「講談社現代新書」「講談社+α新書」
・事情はわかるが紛らわしい「角川oneテーマ21」「角川SSC新書」
・大人こそ読みたい「岩波ジュニア新書」「ちくまプリマー新書」
・元祖「ライフハック本」「宝島新書」
・かくも楽しきニッポン文化「平凡社新書」
・実用知識をユニークな構成で見せる「新書y」
・スゴ本、ダメ本 玉石混淆の「青春新書インテリジェンス」
・ルポが光る、新聞社系新書「朝日新書」
・エコとエロが共存する「ベスト新書」
・IT好きにうれしいラインナップ「アスキー新書」
・派手なグループの地味なレーベル「ソフトバンク新書」
・今後が楽しみ「マイコミ新書」
最後にちょこっとですが電子書籍についても触れてますね。うむ、容量無限の本棚を手に入れる、と総じて肯定的に書いています。うーん、個人的にはデジタル化って微妙なんだよね。本棚に並べてこその本って感じがする。バックアップさえしっかりしてれば大丈夫なんだけど、なんかデジタルって怖い側面もあるんだよね。というわけで自分はまだ「自炊」はしたことないです。
そうそう、この本で紹介されていて気になった本を下に貼っておきます。そのうち読んでレビューするかもです。アルファブロガー小飼弾氏選定タイトルなので、これらを中心に読めば知識が少しは深くなるかも。
筑摩書房
売り上げランキング: 23,910
光文社
売り上げランキング: 86,663
光文社
売り上げランキング: 14,706
講談社
売り上げランキング: 223,385
講談社
売り上げランキング: 480,946
角川SSコミュニケーションズ
売り上げランキング: 245,314