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やっと読んだ。伊坂作品の中でも1、2を争う有名作品だけど、なんか読む機会がなかった。で、感想としては、うーん、ちょっとインパクト薄かったかなぁ。それなりに面白かったけど、そろそろ伊坂ワールドに飽きてきたのかも。。。
(「BOOK」データベースより)
引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。
物語は現在と二年前の2つのパートが交互に進んでいく。現在のパートは椎名が河崎の本屋強奪に巻き込まれていくストーリー。そして二年前のパートは琴美とその恋人でブータン人のドルジ、琴美の元カレでもある河崎の3人がペット殺し騒動に巻き込まれていくストーリー。
この2つのパートを結びつけるのは、どちらのパートにも登場する河崎。この河崎のキャラは最高。そのルックスを武器に、付き合った女性の誕生日で365日を埋めるのが夢と言い切ってしまう。やっぱり伊坂作品はキャラがイキイキしていると思った。
2つのパートは中盤くらいまではほとんど無関係とも思えるほど、独立して進んでいく。両パートに出ている河崎のちょっとした言葉が関連してるくらい。これがどう結びつくのだろう。。。と疑いながら読み進めていく。そして終盤、やはりどちらのパートにも出てくるペットショップの店長、麗子が一気に両パートを結び付けていく。これまでの諸々の伏線が一気につながる。これぞ伊坂マジック!
いやー、河崎のキャラが生きていただけに見事に騙された~って感じ。確かに後になって読み返してみると、微妙にキャラが違ってる。でも普通気づかないよなぁ。。。うーん、参った。で、このままいい感じで騙されたまま終われればよかったんだけど、エンディングが少し後味悪い。そこが残念。ハッピーエンドだったら間違いなく五ツ星だった。
この作品で一番よかったのはタイトルの付け方かも。アヒルと鴨がそんな形で、そして、コインロッカーがそんな形で登場するとは。。。このネーミングのセンスはほんと素晴らしい。
あ、それから、『陽気なギャングが地球を回す』シリーズのあの響野の妻、祥子さんが主人公椎名の叔母としてちょっとだけ登場する。この辺りが伊坂ファンにはたまらないところ。ただ、他の作品に比べると作品間リンクやおなじみの理系ネタが少なかったので少し残念だ。
で、これ映画化されているけど、どんな感じなんだろう。。。映像化するのはかなり難しそうだ。見てみたい。。。やっぱりまだまだ伊坂からは離れられないんだろう。