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ネタバレ上等ブログ

警官の血 下巻

★★★★★
佐々木 譲
価格
上巻がしっかりとした伏線になった。
 上下巻に渡る佐々木氏の大作「警官の血」であるが、上巻がしっかりとした伏線を引いているので、下巻がしっかりと重厚なドラマとして生きてくる。 欲をいえば、さらにストーリーを先に膨らましてほしかったとい...
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いよいよ下巻。上巻(こちら)で残された謎に決着がつく。できれば、もう少し意外性がほしかったかも。それでも、親子三代に渡る警視庁警察官の運命と結末の描写は見事で、ミステリーよりもこちらの方が本作品の本当の焦点なんだろうと思った。

(オンライン書店ビーケーワンより) 過激派潜入の任務を果たした民雄。だが、父の死の真相を?みかけた民雄に銃口が向けられる。そして息子の和也も警官となり、特命を受ける。半世紀を経て、和也が辿りついた祖父と父の死の真実とは?。警察官三代の運命を描く。

下巻は第2部の続きから始まる。公安の潜入捜査官から一介の制服警官に戻れた民雄は「血のつながらぬ叔父」の一人、香取の口添えで天王寺駐在所勤務となる。父清二が謎の死を遂げるまでの3ヶ月間勤務し、そして息子の民雄も過ごした駐在所だ。 駐在所勤務になるまでの民雄は潜入捜査のストレスから不安神経症となり、酒を飲むと人が変わり、妻の順子にも暴力を振るってしまっていた。家庭は荒れ、息子和也からも避けられる始末。そんな、民雄も町の駐在さんになってからは精神的にも安定し、家族との距離も取り戻してきた。その一方で因縁の天王寺駐在所に勤務することになり、父清二の死の謎に迫ろうともしていた。 民雄は地元の住民や警視庁の関係者などの伝をたどり、清二の死の真実に近づこうとしていた。そこで分かってきたのは、清二が死の直前まで独自調査していたミドリ殺害事件、鉄道員殺害事件の捜査線上に警察の影がちらついていたこと。そして、ついに決定的な事実をつかむ。清二が死んだ日に起きた五重塔火災騒動の古い写真に思いがけない人物が写っているのを知る。ここから真実に迫るのかと思った矢先、駐在所管轄内で起きた拳銃所持立て篭もり事件の現場で犯人の銃弾に倒れてしまう。。。問題の写真、読み手には誰が写っていたか分からないまま、第2部が終わってしまった。ちなみに今度は殉職扱いとなった。 続いて第3部、和也の物語が始まる。警察官だった祖父、父を継ぎ、やはり警察官となった和也。誠実、実直、生真面目といった祖父や父のDNAは着実に受け継がれているように思われる。主に知能犯や経済犯罪を扱う捜査二課を希望していた和也だが、配属されたのは暴力団を相手にする捜査四課。といってもある捜査官の内偵という特命を与えられての異例の配属だった。 内偵対象となった加賀谷係長は都内の裏組織と独自の情報網を構築していた。違法行為も織り交ぜた加賀谷のやり口は、巨悪を封じるための必要悪とも思えたが、和也は着々と内偵を進めていく。そこには真っ直ぐ誠実型だった祖父や父にはない強さも見出せた。和也の恋人永見由香が加賀谷と浮気したことも引き金となり、後味の悪い形でこの内偵を成功させる。 その後、ついに三代目にしてミドリ殺害事件、鉄道員殺害事件、そして祖父清二の死の真相を突き止めることになる。いや、正確には二代目民雄も死の直前にこの真相を知っていたことが明らかになる訳だが、それがちょっと意外性もなく、ここまで引っ張っといてそれだけ?と思ってしまった。今さら、これは性犯罪だったんだとか言われても、ふーん、、、って感じで、その辺はもうちょっと捻ってほしかった。 加賀谷への内偵が終わりしばらくして和也は希望の捜査二課に配置換えとなる。祖父から受け継がれたホイッスルを胸にぶらさげ、加賀谷から支給された高級腕時計を身に着けた和也。祖父や父から受け継いだ実直型の正義感だけでなく、加賀谷や例の犯人から学んだしたたかさ、ずぶとさ、たくましさをも兼ね備えた親子三代警察官の集大成のような警察官となっていた。 警察内部の描写もリアルで、親子三代警察物語としてだけでも十分な内容だったのに、なぜミステリー仕立てにしたのかなぁ、というのが一番の感想。三代に渡って残された謎にしては結果があっさりしすぎだし。。。それでもこれだけのボリュームをテンポよく読めて、読後感はお腹いっぱいといった感じ。かなり良かったと思う。
佐々木 譲
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内容が濃い!!
内容がとても濃い作品です。警察官としての三世代の物語に終わらず、日本の社会、犯罪の歴史を交え、個人と組織の葛藤、そして祖父、父親死亡の謎、ラストの爽快感、一気読みの充実度120%。字数は、あまり多く...
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■2009/2/8追記 昨日今日の二夜連続でテレビ朝日開局50周年記念ドラマスペシャルと題してドラマ化されましたね。 ざっと流す程度で見たのですが、全体的に原作に忠実だった感じがしました。ただ、細かい描写なんかは端折られてて、原作読んでない人にはアレ?って思うところもあったんじゃないかと。 最後の早瀬のふてぶてしさも原作通りで、盗人猛々しいって感じが出てましたね〜。 それにしてもこのドラマの影響でアクセス数がすごいです。普段1日100もいかないアクセス数なのに、昨日と今日は3000超えてます。。。 どうやらYahooで「警官の血 ネタバレ」で検索するとトップに表示されるみたいで、こんな内容の無いブログで申し訳ないです。。。