いやぁ、面白かった。一気に読んだ。中学受験本って初めて読んだが、こんなに楽しいものだとは。。。
十年来の親友という母親二人による中学受験体験記で、人気ブログの書籍化らしい。目指す学校も利用した塾も、そして受験勉強の開始時期すら違うそれぞれの息子と娘。
当初はあっけらかんとしていた子供たちも、塾でのクラス替えや模試の成績に敏感になっていく。そして子供たち以上に一喜一憂する母親たち。 受験本番に向けて肉体的にも精神的にもボロボロになり、ついには二人の友情にまで影響していく。。。
受験の凄まじさを肌で感じつつ、客観的に見つめることができる。が、実際に当事者になると周りも自分すらも見えなくなるのかも。。。
ちなみに受験対策本ではないので、受験勉強法なんかを期待するとアレ?って感じになる。基本的には塾様万歳本なので、塾のうまい利用法を知るのに適しているかと。
(「MARC」データベースより) 成績不振のわが子が難関校に合格するまで、母はどう戦ったのか。偏差値アップの秘訣や塾とのつきあい方など、リアルな言葉で綴られた受験生活の全貌を公開。大人気ブログから飛び出した「戦友」母ふたりの中学受験交換記。
登場人物は花鳥と花夫の母息子、風月と風子の母娘、この4人がメイン。それぞれの夫もたまに出てくるが、これがまた対照的。花鳥の夫は受験に協力的だが、風月の夫はあまり協力的じゃなく、風月は孤軍奮闘といった感じになる。途中かなり悲壮感あふれてたなぁ。。。
花夫は5年生から風子は4年生から、それぞれ受験勉強をスタートしている。スタート時期は違うものの比較的早い段階で第一志望校を絞っているが、どちらも当時の実力からはかなり上のチャレンジ校だったために、その後大変な思いをすることになる。まぁ受験なんて高望みが普通なんだけど。
それにしてもどちらも最後まで第一志望を変えずに諦めなかったのはエライ。まさに初志貫徹。この本でも何度か出てくる「諦めなかったヤツが勝つ」を身を持って証明した形だ。 登場する塾は風子の通った業界最大手の日能研、花夫の通った老舗の四谷大塚と体育会系のノリが有名な早稲田アカデミー。クラス替えで一喜一憂する生徒や親に冷静に対処する塾室長の話や六年生になり目つきが変わる生徒たちの話、それに受験会場での講師陣による激励の話など、それぞれの塾でのエピソードも満載。妥当な受験校を複数受けたのに全滅してしまった過去の生徒のエピソードなんかは、途中で親の方が過剰反応したことで受かるものも受からなくなってしまったケース、これは読んでいてとても痛々しかった。
それから、中学受験生を抱える母親を疑似体験できるので、これから自分の子供が中学受験するという人は一見の価値があるかと。それにこうした母親の精神状態とかが克明に描かれているので、母親だけでなくそういった母親に接するであろう人(夫や親族や友達など)にも便利かも。
実際、ここに出てくる二人も受験本番直前は生ける屍状態で、親がそんなで子供に悪影響が出ないの?と心配してしまうほど。理屈では分かっていても精神的にいっぱいいっぱいになってしまい、お互いを思いやる余裕すらなくなってしまう。そして連絡取るのも気まずい状態に、、、
最後はハッピーエンドだったからよかったが、多分どちらか一方でも失敗してたらこの本も存在しなかっただろうことが容易に想像できる。 最近は中学受験者数が増加傾向だというが、子供の一生にも関わる問題だけに安易な選択はできない。高校受験や大学受験とはまた違った世界がここにはある。親も不退転の決意で挑まないと本当に大変なことになるんだなぁ、と改めて思った。
なお、この本は子供たちが6年生になってから受験本番までをメインに描いているワケだが、それよりも前の小学校4〜5年生のエピソードについてまとめた続編『この私が合格させる!4年生・5年生編―中学受験マザーズの超リアル奮戦記』も出ており、こちらもすぐ読もうと思う。