この映画にこの邦題は軽すぎる。エンディングのことも考えれば原題「UP IN THE AIR」のままで良かったのでは？
主人公がリストラ宣告代行人なんだけど、このご時世にコレってどうよ？とも思った。邦題といい職業といい、ちょっと疑問符だらけだったが、自分の人生を振り返る意味でも見てよかったなと。こういう答えのない禅問答のようなネタは苦手なんだけど、この作品はそれをうまく映画の中に織り交ぜている。日本ではあまりヒットしなかった気がするが、結構いい作品なんじゃないかと。
主人公のライアン（ジョージ・クルーニー）は年間３２２日も飛行機で出張するリストラ宣告代行人。これまで６人しか達成していないアメリカン航空マイレージを１０００万マイル貯めて終身名誉会員に名を連ねるのが彼の目標。人生の重荷は一切排除、家も人間関係も結婚もまったく考えない。（「シネマトゥデイ」より）
仕事で年間322日も出張するライアン（ジョージ・クルーニー）の目標は、航空会社のマイレージを1000万マイル貯めること。彼の人生哲学は、バックパックに入らない荷物はいっさい背負わないこと。ある日、ライアンは自分と同じように出張で各地を飛び回っているアレックス（ヴェラ・ファーミガ）と出会い、意気投合するが……。
スーツケースに荷物をスムーズにしまい込んでホテルから出発し、空港ではプラチナカードを見せて優待ゲートから颯爽と入場する。最初は人生を合理的にスマートに生きている独身貴族の彼が非常にカッコよく写る。ネクタイケースを閉じる様なんか、もう惚れ惚れするくらいだ。
が、そんな彼の前に二人の女性が現れることで、彼の歯車がちょっとずつ狂い始める。
一人は出張先のホテルのバーで知り合ったアレックス（ヴェラ・ファーミガ）。彼と同じように出張バリバリのビジネスウーマン。経験豊富で「割り切った関係」が得意、エロトークガンガンでセックスアピール満点の大人の女性。おそらく人間関係を希薄にしてきた彼にとって、割り切った関係を望むアレックスは魅力的に映ったんだろう。普段は他人とのつきあいをしない彼が、彼女とは二度三度と出張先で落ち合うどころか、妹の結婚パーティにもパートナーとして誘ってしまう。
もう一人はライアンの会社に入社してきた新入社員のナタリー（アナ・ケンドリック）。大学を首席で卒業し、ビデオチャットの導入で無駄な出張を廃止することを提案する現代っ子。そんな彼女がリストラ宣告の実地研修のため、出張廃止を訴えるライアンの出張にくっついて回ることになる。何度かライアンのリストラ宣告現場をその目で確かめ、ついに彼女の提案するチャットシステムでの運用を開始する。表面上はうまくいったように見えた彼女のリストラだったが、彼女がリストラ宣告したうちの一人が自殺してしまう。そりゃそうだろ、、、 これまで献身的に働いてきた会社の社員からのリストラ宣告ではなく、代行業者を通しての宣告ってだけでも非情なのに、それが画面を通しての宣告だなんて、、、 ま、これは彼女のせいではなく、この方式を受け入れた会社の責任だろ。これまでのリストラノウハウから予想できるだろ。
そんな二人に歯車を狂わされたライアンだが、彼の気持ちが決定的にぐらつくのが、妹の結婚パーティ会場での出来事だ。なんと新郎が式の直前になって怖気づき、ライアンが説得することになる。結婚してないどころか、そういったことに否定的だったライアンに果たして説得ができるのか？ 新郎は結婚して家族や家のために働いて死んでいく人生なんて、と考えていた。いや、それって、だからライアンの考え方にピッタシじゃん。説得できないじゃん、、、と思いきや、自分自身をゆっくりと説得するかのように「幸せだったとき、そして、つらかったとき、君は一人だったかい？」と、まるで自らの殻を破っていくように歩み寄っていく。
意を決してシカゴに飛び、アレックスの自宅を訪ねたライアンだったが、そこで見たのは夫と子ども二人に囲まれる普通の家庭。いや、、、だから割り切ってって言ってたじゃん、、、と心の中でライアンを慰めちゃった自分って、、、（汗）
夢だった１０００万マイルも果たしたが、全てが虚しく映り、最後はエアポートのゲート前で発着掲示板を見上げておしまい。このエンディングはどう取るべきか悩んだが、やはり彼は彼の生活（UP IN THE AIR）に戻ったんだと思いたい。スーツケースから手を離したのが気になったが、最後のライアンのセリフは「空へ帰る」というような内容だったので。。。
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