ザキレポ

ネタバレ上等ブログ

ハート・ロッカー

戦争が終結してもなお国内の紛争に荒れるイラク。バグダッドに駐留する米軍爆発物処理班の日常を描いている。

あの『アバター』との一騎討ちを制して第82回アカデミー賞で作品賞を受賞した作品としても注目されたが、劇場に行く時間が取れず、今回ブルーレイにて鑑賞。

ハート・ロッカー」とは苦痛を強いられる場所を意味する。この映画ではバグダッド駐留とその期間を指しているものと思われる。


ハート・ロッカー [Blu-ray]
ポニーキャニオン (2010-09-02)
売り上げランキング: 31,090



(「シネマトゥデイ」より)
2004年夏、イラク・バグダッド郊外。アメリカ軍爆発物処理班・ブラボー中隊のリーダーに、ウィリアム・ジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)が就任する。まるで死への恐怖などないかのように遂行されるジェームズの爆発物処理の様子に、仲間のサンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)らは不安を抱くようになり……。

戦争映画は見るのに覚悟がいる。見終わった後に必ずといっていいほど、心の疲れを感じるからだ。今回もやっぱりそうだった。というか、かなりきつかった。

イラク安定のために駐留しているはずの米軍が地元民から襲われる。理不尽だと思ったが、多分、彼らからすれば自分たちの国を踏み躙った米軍の方がもっとひどいと、そんなことを思っているに違いない。結局、戦争に正義なんてないんだなぁ、とつくづく感じた。

米軍を襲うイラクの地元民を見ていると、『ブラックホーク・ダウン』のソアリア民兵を思い出す。圧倒的な装備力を有しながら、あちこちに隠れ潜んでは、ゲリラ的に攻撃してくる民兵に米軍は全く太刀打ちできなかった。今回も爆発物処理の真っ最中に周辺に潜んでいたテロ市民が起爆装置をポチっとして、米軍の爆発物処理班のマット・トンプソン軍曹(ガイ・ピアース)が吹っ飛ばされ死亡。宇宙服のような完全防備だったが、凄まじい爆発の衝撃波には耐えられず、ヘルメットの中が血みどろになっていた。。。

その交替要員としてブラボー中隊リーダーに赴任したのが、ウィリアム・ジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)だ。彼はこれまで800以上の爆弾を処理し、アフガニスタンでも活躍してきた爆発物処理のスペシャリスト。えっと、まぁ、確かにスペシャリストには違いないんだが、どうもメンタル面がイッちゃっている感が。。。爆発物処理中に自爆テロかもしれないタクシーが突っ込んでこようが、やっとの思いで爆弾を処理したと思ったら、そこから芋づる式に何個もの爆弾がつながっていようがヘッチャラ。

トンプソンの死から立ち直れないブラボー中隊のJ・T・サンポーン軍曹(アンソニー・マッキー)やオーウェン・エルドリッジ技術兵(ブライアン・ジェラティ)は、そんなジェームズと事ある毎に衝突する。

映画ではシーンが変わるとブラボー中隊の任務終了までの日数がテロップ表示される。見ている側としてもカウントダウンしながら、何事も起きないことを祈るばかりだ。しかし事件は毎日のように起こる。砂漠の中で突然襲撃され、一日中身を潜めて狙撃したり、ジェームズの暴走からエルドリッジ技術兵が撃たれたり。。。

そんな中でも一番の衝撃は人間爆弾だ。人間爆弾といえば『無敵超人ザンボット3』が有名だが、本物があるのだと始めて知った。ある日のこと、ブラボー中隊がテロ組織のアジトと思われる場所を突き止める。そこには大量の化学物質や爆発物とともに、一人の少年の遺体が。少年はジェームスら米兵と仲のよかったベッカムという人懐こい少年で、胸には大きな切り傷と縫い跡があり、その中には爆発物が埋め込まれていた。米兵と仲がいいことを利用した人間爆弾のようだ。

自分の身の危険には全く動じないジェームスだが、これには大爆発。ベッカム少年と一緒にDVD売りをしていたオッサンに噛み付いたり、いろいろやったが犯人は分からずじまい。もう少しで全く無関係の市民の家に不法侵入して捕まるところだったが、何とか切り抜ける。その後、ジェームスはベッカム少年に似た別の少年が近寄ってきても無視をするようになった。

そんなこんなであと2日というところで最後の事件が。大量の爆弾を体中に取り付けられたイラク人が救助を求めていた。頑強なロックと時限装置によって残り時間は2分という絶体絶命な状況。皆が端から諦めているところにジェームズが駆け寄り、ロックを外そうと試みる。大型のペンチでもロックはびくともしない。「家族もいるんだ、死にたくない、助けてくれ」と懇願するイラク人だったが、残り数10秒のところでさすがのジェームズも諦めるしかなかった。「すまない、お前を助けられない。」といい、イラク人から遠ざかるジェームズ。天を仰いだイラク人は次の瞬間、大爆発。。。

任務が終了したジェームズは帰国して妻と息子と暮らしていた。あれだけの危険から逃れてきたのに、どうも彼には居心地の悪さを感じているように見える。多分、彼には戦場しか居場所がないのだろう。映画の冒頭で、戦争は麻薬だ、というセリフが出てきたが、「ハート・ロッカー」が彼の一番落ち着く場所なんだろう。



人間爆弾「桜花」発進―桜花特攻空戦記 (光人社NF文庫)

潮書房光人社
売り上げランキング: 239,179

アメリカ陸軍 M1132ESV ザ・ハート・ロッカー (1/35) (1574)
トランペッター
売り上げランキング: 147,206