日本ビクターの不採算部門がビデオ規格VHSを開発するお話。
先行するソニーのベータマックス(βマックス)の牙城をいかに打ち崩したかが描かれています。
何というか、仕事頑張ろう!って思わせてくれる映画でした。
モデルは日本ビクター元副社長 高野鎮雄氏
この映画には日本ビクター、ソニー、松下電器、三菱電機といった会社が実名で登場しています。
まあVHSとベータの規格闘争に関しては今さら隠すものでもないだろうし、終わった話って感じはするんだけどね。
ちなみに人物に関しては松下電器相談役の松下幸之助だけが実名登場で、他は仮名登場でした。松下幸之助はカリスマというか有名過ぎて仮名にする意味ないしね。
そしてこの映画の主人公、加賀谷静男のモデルとなったのは「VHSの父」「ミスターVHS」と呼ばれる日本ビクター元副社長の高野鎮雄氏。西田敏行が演じています。
映画は彼がお荷物部門と揶揄されるビデオ事業部の事業部長に左遷されるところから始まります。
彼に与えられた特命は2割の人員削減、いわゆるリストラ。しかし彼は2割どころかただの一人もリストラせず、さらには自分が赴任する前に決定していたリストラすら取り消してしまう。
その一方で事業部の窮地を救うために組織改編を断行し、本社に隠れてVHS開発に勤しむことに。
加賀谷のリーダーシップ
そんな無理ゲーを進める加賀谷を強力にサポートしたのは渡辺謙が演じるビデオ事業部次長の大久保修。
彼はいずれは本社に戻る予定のエリートで、それまでは波風立てずに本社の意向に異を唱えずリストラでもなんでもやってきたが、加賀谷の情熱が彼を動かした。
いや彼だけでなく、当初は敵愾心を露わにしていた下請け工場の社長など多くの人間が加賀谷に味方していった。
こうやって何かをやるにあたって周囲の人を巻き込める人ってのは本当に強いと思う。そしてこれこそがリーダーシップなんだろうなぁ、と思った。
ソニー・ベータマックスとの規格競争
秘密裏に進めていたホームビデオ開発だったが、ソニーのベータマックスが規格発表したことでピンチを迎えます。
しかし加賀谷たちは技術者を営業に回したりして消費者の生の声を聞いて回っており、家庭用ホームビデオに求められる機能を知り尽くしており、これを突破口に逆転の可能性を探ろうとする。
そうは言っても商品化できなきゃ意味がない。先行者のソニーは徐々に販路を拡大し、他の家電メーカーもベータマックス採用で規格が揃ってしまいそう。さらには通産省も別規格の発表を制限する動きを見せる。
窮地の加賀谷が頼ったのは親会社である松下電器の相談役松下幸之助。全く面識がない加賀谷が松下幸之助に会うのは至難の業。チャンスは朝必ず顔を出すという工場での待ち伏せだった。
松下幸之助をして、ソニーのベータマックスは100点満点だが、VHSは150点と言わしめたVHS。
後に先行していたベータを追い抜き、世界規格となったのはご存知の通り。
そういえばビデオデッキが本格普及したのは俺が小学校高学年の頃だったかな。
俺の実家ではマックロードという松下電器(National)のVHSデッキでした。確か中村雅俊がCMやってたような、、、
発売までにこんなドラマがあったとは当時は知らずに使ってましたね。
文藝春秋
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