『ドＳ刑事』シリーズ
縁あって読むことになったので感想を。
今風な感じでなかなか楽しめた。最終章までに犯人を２人まで絞れたけど最後の２択でしくじった。まあ２人に絞ったのも消去法使いまくったし、圏内ちゃんみたいにはいかんよね。
新潮社 (2014-09-27)
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（Amazon.co.jp 商品説明欄より）
生身の人間と会話するのが苦手。でもネットがなくて誰とも繋がれなくなる孤独はもっと苦しい。電波がバリ3表示の場所でだけ生きてゆける、ひきこもりの緑子。しかしひとたびオンライン掲示板を聞けば、ハンドルネーム「圏内ちゃん」はカリスマ的存在だ。驚くべき情報収集力と推理力で、“炎上"した匿名アカウントの本人を特定する。ある日、連続女性殺人事件に巻き込まれて…。
はじめての七尾与史
七尾作品初読了なんだけどネーミングセンスが秀逸だね。
ドS刑事とか山手線探偵とかバリ３探偵とか、どれもパッと目を引いて、キャラ設定が容易に予想がついて、そして口にしやすい。（ドS刑事はどうかしらんがw）
作風的に若い作家さんなのかと思ったら40代後半と予想よりも少し上だった。作家にしては若いのかもしれんが、最近は若い作家さん多いしね。と思ったら、この方は作家専業ではなく歯科医師でもあるらしい。しかも開業歯科医っぽいね。そういえば本作品でも圏内ちゃんのだんなが元歯科医師だった。
んで、七尾与史ってどう読むんだろう、えーっと、、、ななお、、、よ、、し？ んなわけねーよなぁ、と思ってウィキペディア見たら「ななおよし」であってたw まじかw
掲示板での炎上はスピード感があってなかなかリアル
冒頭でインターネット掲示板 忌女板での身元特定炎上騒動が描かれてるんだけど、これがまたスピード感のある描写で実際もこんな感じで身元が割れていくんだろうなぁ、と思ってしまった。
ちょっとした隙から名前だけでなく通ってる大学名、内定先、交際相手、交際相手の父親が役員の会社、交際相手のバイト先、そしてついには自宅住所まで突き止められ、さらには現地に凸られ写真まで撮られてしまう。
最終的に内定が取り消され、交際相手にはフられてしまうという踏んだり蹴ったりなんだけど、彼はさらに大変な目に合うわけで、この程度で済めばよかったのにね、とちょっと思った。（これも十分大変なんだけど）
あ、↑では忌女板って書いたけど、これって２ちゃんの鬼女板のことだよね。怖いからあんまり触れないけど、バカッターとかしまむら土下座事件とか速攻で身元特定しててまじですごい。本当かどうか分からんけど日本のCIA、日本のFBIとか言われてるらしい。
電波アンテナが３本立ってないと正気を保てない圏内ちゃん
そんな掲示板の中でとりわけ鋭い洞察力と捜査能力を持ったハンドルネーム 圏内ちゃん こと見内緑子が事件を解決に導くストーリーでした。見内って「みうち」だと思ってたけど、よく考えたら「けんない」なのね。
圏内ちゃんはすごいよー。警察が11年に渡ってたどり着けなかった真相にネット検索だけで辿り着いちゃうからね。これはすごい。つーか警察は基本的に何もやってないしw 警視庁捜査一課の刑事が忌女板に身元明かして依頼を書き込むとか正気かよw
そんなすごい能力を持った圏内ちゃんだけど、電波が届かないところへは行けないらしい。基本はアンテナ３本（バリ３）立ってないとダメで、日々変わる電波環境に合わせて自宅のレイアウトも変更する徹底ぶり。
あと対人恐怖症で基本的には喋れない。たまに超か細い声で喋るくらいで、基本はスマホのチャットを通しての意思疎通。めんどくせー
警察は何もやってないって書いたけど、そういえば圏内ちゃんの機動力のなさをカバーしてたわ。警察の機動力と圏内ちゃんの捜査能力の合わせ技で事件解決した感じかな。
時系列ずらしの妙
本作品では以下の３つのパートが時系列をずらして進行しています。
- 圏内ちゃんパート・忌女板関連事件
- 刑事パート・左手切断殺人事件
- コータパート・11年前の左手切断殺人事件
この時系列ずらしが結構いい具合に混乱させてくれました。コータパートだけがかなりずれていて、圏内ちゃんパートと刑事パートはちょっとだけずらしている。
このちょっとずらしが絶妙で、どちらが先でどちらが後なのかが分かると容疑者が絞れるんだけど、これがなかなか読み取れないようになっていた。（読み落としてた可能性あり）
あと途中でアナグラム多用してたので犯人の名前もアナグラムなのかなぁと思ったがそこは関係なかったり、ひっかけも多かった。
続編もあるよー
どうやら続編もあるようですね。しかもこっちはドS刑事こと黒井マヤも登場するらしい。圏内ちゃんとドS刑事がぶつかったらどうなるんだろう。。。 早く読みてえw
新潮社 (2015-08-28)
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