zakky's report

ネタバレ上等ブログ

震度0


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半落ち』、『クライマーズ・ハイ』と並ぶ、横山秀夫氏の超有名作品。

地方警察幹部の警察庁キャリアと地元ノンキャリアの暗闘を描いた警察小説。 単なるキャリア対ノンキャリという構図ではなく、キャリア同士、ノンキャリ同士も気を許さず、要するに幹部全員が腹に一物ありといった感じで、こんな中で仕事してたら誰も信じられなくなりそう。つーか、自分ならストレスで倒れる。。。

警察トップがここまで反目しあってるのはどうかと、、、と、ちょっと心配にもなったけど、ま、あくまでもフィクションなんで、心配無用かと。えっと大丈夫なんだよね???(汗)

 

震度0 (朝日文庫 よ 15-1)
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横山 秀夫
朝日新聞出版
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(オンライン書店ビーケーワンより) 阪神大震災の朝、一人の県警幹部が失踪した。蒸発か? 事件か? 錯綜する思惑と利害、保身と野心、激しい内部抗争を背景に、N県警幹部6人の密室劇の幕が開く…。『小説トリッパー』連載に加筆。

 神戸が震度7強という大震災に見舞われたまさにその日、N県警筆頭課長の不破警務課長が失踪する。さらに指名手配中の殺人犯三沢が姿を現し、事態は混沌としていく。

 ってか、「N県警」って何だよ。。。 パッと思いつくのは名古屋と長野、あとは新潟。他にあるかな??? まぁ、そんなのどうでもいいけど。 ※今さら気づいたが名古屋は県名じゃねーよ…(2013.12.8追記)

 ストーリーの核になるのは不破の失踪。これは単なる警察官の失踪では済まされない大きな事態。なぜなら不破はN県警の筆頭課長という要職に就いているだけでなく、N県警の中枢においても実に重要な働きをし、上からも下からも、キャリアからもノンキャリからも慕われる人物だったからだ。事実、不破の失踪により旗振り役を失った幹部会議は険悪なムードに包まれていく一方だ。

 では、登場人物について見ていこう。

 

椎野本部長 46歳 警視長 キャリア

N県警のナンバー1。ただし警察庁の同期内での出世争いからは既に脱落しており、ここから逆転して警察庁長官になるのは難しい状況だ。そういった意味で冬木からは軽く見られている。数日前に県内の有力フィクサー桑江から不用意に高額な贈答品を受け取ってしまい、不破に贈答品返却の隠密指令を出していた。今回の不破失踪でこのことがバレないか、そしてそもそも不破の失踪がこれに関わっているのではないかと心配している。

 

冬木警務部長 35歳 警視正 キャリア

N県警筆頭部長に就くナンバー2。警視庁同期の中でも出世頭で、将来の長官候補と目されていてる。N県警幹部の中でも一番の野心家。今回の事件では、直属の部下である不破の失踪で自分のキャリアに傷がつかないかを心配する。心配が過ぎて周囲との軋轢を無視した発言、行動をしまくり孤立していく。実際、仕事もできるんだろうけど、何ともいけ好かないヤツ。こんなヤツじゃないと長官にはなれないのか?

 

堀川警備部長 51歳 警視正 準キャリア

準キャリアという中途半端な立場で苦闘する正義漢。N県警幹部の中では一番まともか。20年前に川釣りで息子を亡くした過去を持つ。警備部長という立場もあるのかもしれないが、関西地震を一番気にかけている。今回の事件ではN県警幹部が疑心暗鬼になっている状況を憂慮している。

 

藤巻刑事部長 58歳 警視正 ノンキャリア

N県警地元ノンキャリアの中ではナンバー1。刑事畑の生え抜きで刑事部門全体を指揮する腕前はかなりのもの。現場指揮官の瀧川捜査一課長以下、部下との信頼関係は厚い。4年前に起きた不破の東部署長時代の県議選に絡んだ警察不正を追うことで、2年後に自らが就任する予定の天下りポストのきな臭さを嗅ぎ取る。これをN県警幹部、特に冬木に知られて天下りポストがなくなることを恐れている。

 

倉本生活安全部長 57歳 警視正 ノンキャリア

周囲からは無口と思われているが、裏では女子職員やN県警幹部の奥さん達にちょっかいを出しつつ機密を漏らしている最悪なヤツ。不破失踪については傍観者を決め込んでいたが、最後に自分の女癖の悪さも絡んでいたことが判明し青ざめる。

 

間宮交通部 57歳 警視正 ノンキャリア

いつも周囲に文句ばかり。幹部会議では一番格下でおとなしいが、自分の部下への罵倒はかなりヒドい。上司にはしたくないタイプ。今回の事件に関しては、不破からの交通違反揉み消しの依頼を受けたくらいで、関連は一番少ないかも。

 

 といった彼ら6人が野心と保身をかけてぶつかりあう。キャリア、ノンキャリ入り乱れてのバトルロイヤルといった状態だ。

 それぞれが主導権を握るべく、掴んだ情報を直隠して互いを出し抜こうとするため、調査は一向に進まない。こいつらが協力して情報共有すればすぐ解決しそうなのに。。。

 さらに、各部長の奥さんやキャリア喰いと呼ばれる婦警の秋吉が絡んで、裏ルートで情報が流れたりして、もう何がなんだか、といった感じだ。

 例えば、中央署長妻→智子(藤巻妻)→可奈子(倉本妻)→倉本→秋吉、敦子(間宮妻)といったルートで流れ、さらには秋吉→冬木→本部長室会議、といった具合で情報が流れる。最後の方では紘子(冬木妻)まで入ってきて、なんだこりゃ、もう完全に筒抜けじゃねえか!

 バトルロイヤルの方はというと、まず椎野と冬木が対立し、その後は冬木と藤巻の対立が激化。当初はどちらとも対等に渡り合っていた冬木だが、藤巻の持つ圧倒的な経験と情報に徐々に押され始める。さらに冬木は、隠していた事実をポロッと漏らしてしまうミスも出て、徐々に劣勢へと追い込まれる。

 そんな冬木だが長官に昇りつめるためには絶対に負けてはならない、という強い信念で、最後まで粘り続ける。この辺のしぶとさはスゴイの一言。やはり野心の塊だ。

 藤巻、冬木が互いに譲らず硬直してしまった幹部会議を立て直そうと、堀川は4年前の県議選絡みの話を持ち出す。不破救出に繋がればとの思いからの発言だったが、この情報は藤巻の立場を悪くし、逆に冬木を勢いづけるだけとなり、堀川は落胆する。

 ちなみにその頃には椎野にN県警ナンバー1の力は残っておらず、会議でもほとんど発言しなくなっていた。冬木からは「あなたと心中するよりはマシです」とまで言われる始末。

 結局最後は全てを知る不破の妻、静江が真相を打ち明けて終了。って、そんなんで終わっちゃうの???と思いきや、まだまだ続きます。

 結局、不破は2日前に既に自宅で死亡してたワケだが、後処理はそんな簡単ではない。このまま2日前に死亡という発表をすれば、N県警の隠蔽工作は明るみに出てしまうし、追及されれば幹部それぞれが隠してきた都合の悪い話も明るみに出てしまう。

 椎野は桑江から贈答品を受け取ってしまったことがバレてしまうし、藤巻は天下りポストを失う。倉本は過去の女癖が、間宮交通違反揉み消しがバレる。そして誰よりも一番抵抗したのが冬木だ。もしこの件が明るみに出れば、冬木は長官のイスを諦めなければならない。

 野心の塊と化した冬木は、他の幹部が止めるのも聞かずに、不破の死亡時刻を都合のいい日時に操作する決意をする。この結果、N県警としては、不破がいなくなったこと以外、全く何も変わらないことに。地震に喩えるなら「震度0」というワケだ。

 最後の本部長室での会議は緊迫した雰囲気がビシビシと伝わってきた。冬木が今まで以上にキレて吠えまくったんだけど、倉本に対する「文字通り、あなたの撒いた種」発言には吹いた。誰がうまいこと言えと。

 それでも冬木が最後の最後で怖じ気づいたのを見て、ちょっと見直した。やはり彼も人間だったんだと。結局、N県警はどうなったんだろう? はっきりとは読み取れないが、結局は震度0に落とし込めなかったようにも読み取れた。その辺が曖昧なのが残念かな。

 

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