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zakky's report

ネタバレ上等ブログ

 

告白


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湊かなえのデビュー作にして2009年本屋大賞受賞作品。期待が大きかったのにそれ以上に楽しめた作品。これでデビュー作というのが本当にすごい。次が続くことを祈る。

中学生が担任女性教師の娘を殺してしまう事件を通し、その関係者の告白だけで進んでいくという構成アイディアは見事というしかない。特筆すべきは第一章「聖職者」の圧倒的存在感。これで読者をひきつける。娘を殺された女性教師の語りだけで丸々1章を使いきっている。実はこの第一章が双葉社の小説推理新人賞を受賞したのが本書刊行のキッカケらしい。

読後感がイマイチで、面白いのにスッキリしない感じが不思議だった。本屋大賞受賞ということで映画化の話も出るかもしれないが、ちょっと絶望的な映画になりそうだなぁ。。。

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)
湊 かなえ
双葉社
売り上げランキング: 2,244

(オンライン書店ビーケーワンより)
【小説推理新人賞(第29回)】【本屋大賞(2009年)】「愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」 わが子を亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である2人の少年を自ら裁いた-。様々な立場の人物が語る言葉が、事件の真相を解き明かす。


全6章で構成され、それぞれの章では、事件の関係者がそれぞれの形で告白をしていく。それは語りだったり、手紙だったり、日記だったりと。後に続く告白が前の告白の詳細を説明したり、裏付けをしたり、さらにはひっくり返したりと、とにかく次から次へと新事実を発覚させることでストーリーに厚みと意外性を盛り込んでいる。しかもその新事実が指し示す方向がことごとくマイナスに向かっているのが何ともいえない。恐るべし負の連鎖といったところか。

各章をダイジェスト紹介。ここからマジでネタバレです。

第一章「聖職者」では、娘の愛美を生徒に殺された教師森口悠子が終業式後のホームルームで話を始める。最初は夜回り先生(と思しき人物)、金八先生(と思しき番組)などを揶揄するような他愛もない話から始まり、徐々に事件の核心に迫っていく。そこで渡辺修哉と下村直樹が娘を殺した殺人犯であること、そして、二人が先ほど飲み干した牛乳にHIV感染者の血液を混入させたことを告げる。

第二章「殉教者」では、クラス委員長だった北原美月が書いた森口宛ての手紙が出てくる。そこには新学期からのクラスの様子について書かれていて、渡辺がイジメに遭いながらもHIV感染疑惑を利用したスゴイやり方でイジメ乗り越えたこと、下村が精神に異常を来して登校拒否となり、果ては最愛の母を自ら殺してしまったことが記されていた。

第三章「慈愛者」では、下村の母親が遺した日記が登場する。下村による母親刺殺事件の真相を探ろうと下村の姉が母親の日記を読む形で話が進んでいく。その日記によれば下村の精神的な弱さが母親の過剰な溺愛の結果であることがよく分かる。しかしこの日記にも最後に衝撃的な告白が。どうやら下村は自らの明確な意志で愛美を殺したようだ。そしてそれを知った母親が心中を決意し、下村を殺そうとして返り討ちにあってしまったようだ。

第四章「求道者」では、下村が精神病院らしき部屋で延々と繰り返す幻覚を見て、事件を振り返っている。渡辺に尊敬の念を抱いていた下村だったが、事件後の渡辺の冷たい言葉で気持ちが変わり、まだ生きていた愛美をプールに落としたことが明確になる。その後の精神の壊れっぷりも凄まじい。そして、新任教師ウェルテルの執拗な家庭訪問が彼を追い込み、最悪の結末につながってしまったことが分かる。

第五章「信奉者」では、渡辺の遺書が登場する。そこには優秀な研究者だった母親への屈折した愛情が記されており、一連の犯行は全て母親に注目されたいがためのものだったことが明らかになる。さらに北原美月を殺害し、学校の生徒をも爆弾で道連れにしようと画策していることも発覚。しかし、起爆装置を押しても爆発せず、代わりに彼の携帯電話が着信を受けていた。

第六章「伝道者」では、前章最後の着信が森口からのものであることが判明する。そして、その電話で森口から渡辺に衝撃の告白が。渡辺が体育館に設置した爆弾を、渡辺の母親がいる大学の施設に移したのだという。爆発は建物を半壊させるほどで、渡辺は自ら作り起爆させた爆弾で最愛の母親を死なせてしまった。

そして、最後の森口の言葉がスゴイ。
「爆弾を作ったのも、スイッチを押したのもあなたです。ねえ、渡辺くん。これが本当の復讐であり、あなたの更正の第一歩だとは思いませんか?」

なるほど渡辺だけでなく、下村も自らの手で最愛の母親を死に至らしめている。その原因となったウェルテルをけしかけたのも森口であることが第六章の告白で判明する。この二人の母親殺しは、森口にとっては最高の復讐となったわけだ。目には目を、歯には歯を、最愛の家族には最愛の家族を、といったところか。。。

というわけで見事復讐を果たすワケだが、どこかスッキリしない。。。 多分それは渡辺と下村のその後が描かれていないからかと。命に対する感覚が歪んでいる彼らが本当に構成の第一歩を踏み出せたのか? そこが読み取れなかった。下村は頭がおかしくなって自分が誰かも分からなくなっているようだし、渡辺も事実を知った直後で物語が終わってるので読者の想像に任されている感じだ。でも、あのテの人物は普通の人の想像をはるかに超えているので、ちょっと想像しきれないんじゃないだろうか。


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