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zakky's report

ネタバレ上等ブログ

 

死亡フラグが立ちました!

小説

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バリ3探偵 圏内ちゃん』に続く七尾与史作品。実はこちらがデビュー作とのこと。

しかもウィキペディアによれば、

第8回『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考で受賞は至らず落選するも、内容が評価されて隠し玉(編集部推薦)として出版された

とのことで、デビュー作でこれって結構すごいのでは?と思った。

実際読んでみるとさすがに大賞は難しいとは思ったけど。


死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 5-1)
七尾 与史
宝島社 (2010-07-06)
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(Amazon.co.jp 商品説明欄より)
『このミス』編集部が驚愕した話題作! “死神”と呼ばれる暗殺者のターゲットになると、24時間以内に偶然の事故によって殺される——。
特ダネを狙うライター・陣内は、ある組長の死が、実は“死神”によるものだと聞く。事故として処理された組長の死を調べるうちに、他殺の可能性に気づく陣内。凶器はなんと……バナナの皮!?

【死亡フラグ】とは、漫画などで登場人物の死を予感させる伏線のこと。キャラクターがそれらの言動をとることを「死亡フラグが立つ」という。

都市伝説級の殺し屋 死神 vs 都市伝説ライターの主人公(と万能先輩)

この小説に出てくる凄腕の殺し屋死神。彼は予告状を届けた後、なんと24時間以内にターゲットを不慮の事故に見せかけて死に至らしめる。それは例えば汚職事件の鍵を握る政治家秘書がひき逃げにあったとしても事故で片付けられるほど自然な事故死として演出される。不自然なほどの自然な事故死を演出する天才。

このために四方八方から事故死の種を張り巡らせ、ある仕掛けが発動しなくても別の仕掛けが発動するように、それでいてそれが誰かの手によるものだと思わせない緻密な計算が繰り広げられる。こんなんやられたら逃げきれない。実際、死神の仕事の成功率は100%らしい。


そんな彼の素性に無謀にも迫ろうとするのが本作品の主人公、都市伝説ライターの陣内。まあ上司(美人)からの無茶振りで死神に迫ることになったんだが、彼には強い味方がいました。それは先輩の本宮さん。彼がとにかく超万能で、すべてを見通している感があって、途中までこいつが死神なんじゃねーの? みたいに思ったくらいすごい。

なので得体のしれない死神相手でも何とかなっちゃいそうな安心感があって、そこが正直残念でもあった。つーか本宮さんいなかったら主人公普通に死んでたと思うしw


十数年行方をくらますことができるのか

死神の出自に関しては、死神とコンタクトを取るための合言葉「タナトス」からすぐに分かってしまう。その正体は一家全滅となる殺人事件に巻き込まれて死んだと思われていた当時小学生だった子どもが十数年間行方をくらませた結果だった。今の日本で小学生が一人、誰の目にも止まらずに大人になれるのかという疑問はあるのだが、まあ小説だからね。実際は協力者がいたんだけど、協力者もまた同級生という、普通に考えたら絶対無理な話だったりする。

そういえば少し前に読んだ七尾与史作品『バリ3探偵 圏内ちゃん』でも10年位前から行方知れずの殺人犯、有倉父子ってのがいた。左手フェチな狂った父子だけど、こちらに関しては生死不明のまま終わっている。でもこの作品の死神の例を考えると有倉父子も生きてるんじゃねーのかなぁ、と思ったり。今後の作品に出てくるかもしれんね。

ちなみに死神は宝くじによる億単位の軍資金があったんだけど、これって札の番号が控えられていて、使ったら生存バレるんじゃねーの?ってちょっと思った。クレカと違ってその場ではバレなくても、そのお金が流通していることが分かれば少なくとも現金を持ち逃げした一家惨殺事件の犯人が生きているってことは分かりそう。

戸籍も社会保障も何もない小学生が人目に触れずに大人になるってのは、いくら金があっても難しいと思うんだよね。それと彼のクラスメートどころか先生ですら彼の顔を思い出せない、周囲に顔写真も一切ない、みたいな隠蔽工作を事件の数年前から小学生がやってたのかよ、という非現実っぷりも光る。とにかく何から何まで無茶な設定だった。


無茶だらけの設定なのに結構楽しめる不思議

そんな何から何まで無茶だらけだったのに、読んでいて先が気になる。推理小説というよりエンタメ小説として楽しめる感じなのかな。

一見バラバラの複数の時系列のストーリーが最後に1点に収束するところは『圏内ちゃん』でも同様だったし、この手の構成は嫌いじゃないってのがあったかも。

あと最大の謎は死神の正体。出自は前述の通り割れているが、その正体は一応最後まで伏せられている。ただし、勘のいい人なら速攻で分かる。なぜならとても不自然でしつこい描写だから。なので俺は最初に登場した時点で何こいつ、と思ったけど、次に登場した時に犯人だって分かっちゃいました。

そんな無茶だらけで推理小説としてもイマイチ足りない感じがするんだけど、なぜか楽しめる不思議さがありました。その一番の理由は犯人探しよりも主人公が生き延びることができるのかが最大の焦点だったからかも。ただ、ここにもさらに大きな問題があって、その一番気になる主人公の生死が分からないまま終わりやがったwww

一応続編はあるけど、主人公死んでてても死神がそのままなら続編作れるしなぁ。どっちなんだろう。早く読めばいいんだろうけど、しばらく読む暇なさそう(´・ω・`)




死亡フラグが立つ前に (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
七尾 与史
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