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zakky's report

ネタバレ上等ブログ

 

平面いぬ。


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おもしろい!
乙一さんの作品はたくさん読ましてもらってますが、この作品は特におきにいりです!話の全部がおもしろかったのですが、私は一番「BLUE」というのが好きです。最後がとても切ない気持ちになります。読んだこと...
あまなつShopあまなつで見る同じレイアウトで作成

 

収録4編のどれもが切ないながらも後味がよく、バランス感覚が素晴らしい。不思議なのは、どの話にも主軸部分に非現実的な要素が含まれるのに作品全体としては妙なリアルさがあるところ。多分絶妙なバランスで書かれているからなんだろう。乙一作品は今までZOO(『ZOO〈1〉』、『ZOO〈2〉』)とGOTH(『GOTH 僕の章』、『GOTH 夜の章』)と夏と花火と私の死体を読んでいるが、文句なしでこれが一番のお気に入りになった。

(「BOOK」データベースより)

「わたしは腕に犬を飼っている―」ちょっとした気まぐれから、謎の中国人彫師に彫ってもらった犬の刺青。「ポッキー」と名づけたその刺青がある日突然、動き出し…。肌に棲む犬と少女の不思議な共同生活を描く表題作ほか、その目を見た者を、石に変えてしまうという魔物の伝承を巡る怪異譚「石ノ目」など、天才・乙一のファンタジー・ホラー四編を収録する傑作短編集。

 

 

 

まず最初が『石ノ目』

ある村に伝わる、目を合わせた者を石に変えてしまうという魔物”石ノ目”にまつわる物語。怪談風で描写も鋭くてかなり怖い話だが、とにかく先が気になる。後半あたりから、これはもう納得できるオチがつけられないのでは?と思ったが、最後は非常に納得できる結末だった。かなり切ない。。。

2本目は『はじめ』

小学生のちょっとした嘘から生まれた”はじめ”という妄想の中の女の子の物語。まさに「嘘から出た実」で、最初に嘘をついた2人にははっきりと目に見えるし触れることもできる。しかも2人同時に同じ妄想を見たり聞いたりしているし、現実と妄想の狭間もうまく辻褄が合っている。

実在の2人の少年と妄想の中の1人の少女の奇妙な三角関係の中、はじめは何年も生き続けることになる。しかし、はじめが現れて8年後、バス事故に巻き込まれてはじめが死んでしまう。いや、妄想の中の少女が事故死というのもすごい不思議な感覚なんだが、確かに悲しいし、切ない気持ちになる。目に見えるものだけが全てじゃない、と実感する作品だ。

3本目は『BLUE』

動く人形が主人公という4編中一番ファンタジーで、そして、一番切ない物語。

5体セットのぬいぐるみのうち、1体だけ異形に作られてしまったBLUE。心は純粋だったが、その見た目のせいで仲間からも持ち主からも虐げられてしまう。逆に残りの4体は見た目はよく作られていたが、心が醜く、特に王子、王女、白馬の3体は自分達が持ち主の一番のお気に入りにならないと気がすまなかった。

そんなBLUEにもやっと友達ができ、ささやか幸せを掴んだと思ったのも束の間、例の3体が引き起こした事件でBLUEは自らを犠牲にして周囲の幸せを守ろうとする。結局最後は悲しい結末となるのだが、BLUEが幸せな気持ちのまま終われたのがせめてもの救い。(泣)

最後は表題作『平面いぬ。』 タイトルからはど根性ガエルぴょん吉を連想してしまう。近いと言えば近いが。。。あと句点(。)が気になるところ。何か意味はあるんだろうか???

主人公ユウの腕に彫られた刺青の犬ポッキーが動き出すという奇想天外ストーリー。ポッキーの存在をきっかけに家族愛を理解し、前向きに考えられるようになったユウだが、気づいたときには遅かった。。。両親と弟の3人が癌に侵され余命半年と分かる。

自分以外の家族が同時に発癌して、しかもほぼ同じ余命なんてあり得ないと思ってしまうが、この作品に出てくる”~する確率は天文学的なものかもしれないが、それはつまり天文学的視野で考えればありえないわけではないという意味だ。”というユウの考え方で全てが片付いてしまう。確かにどんなことでも宇宙全体で考えれば不思議じゃない、と思えてくる。その後分かることだが、実はユウ自身も皮膚癌に侵されつつあったが、なんと食いしん坊のポッキーが癌の芽を食べてくれたため助かったという。。。

結局家族を失って一人になってしまうユウだが、ポッキーにはオレオという彼女ができて、さらには子犬まで生まれて何とか前向きに生きていく決意をする。