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ゴールデンスランバー


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ゴールデンスランバー (新潮文庫)
新潮社(2010-11-26)
売り上げランキング: 1127

 

伊坂の新作。ヤバイ鳥肌が。。。ホント参った。。。コレまで読んだ伊坂作品の中では一番良かったんじゃないかと。

 

首相殺害の濡れ衣を着せられた青柳雅春。とてつもない強大な敵からの逃亡劇を様々な視点から描写している。さらに伊坂得意の時間軸揺さぶり構成で伏線がいろんな方向からつながっていく。

 

実際に起きたケネディ大統領暗殺事件が元ネタになっていて、濡れ衣を着せられた青柳雅春はケネディ暗殺犯として逮捕され、直後に不可解な形で暗殺されたオズワルドに重ね合わせることができる。この本の中では青柳雅春は紛れもなく濡れ衣だが、果たしてオズワルドについてはどうだったのか?と思いを馳せてしまうような内容だった。そういえば昔、この辺の疑惑を追及した映画『JFK』がすごく見たかったんだが、結局見そびれている。この機会に見てみようかな。。。

 

(書籍帯より)

首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、巨大な陰謀から逃げ切ることができるのか?

仙台で金田首相の凱旋パレードが行われている、ちょうどその時、青柳雅春は、旧友の森田森吾に、何年かぶりで呼び出されていた。昔話をしたいわけでもないようで、森田の様子はどこかおかしい。訝る青柳に、森田は「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」「金田はパレード中に暗殺される」「逃げろ!オズワルドにされるぞ」と、鬼気迫る調子で訴えた。と、遠くで爆発がし、折しも現れた警官は、青柳に向かって拳銃を構えた-。

 

 

 

 

これまであまり目立たず、周囲にも迷惑をかけずに生きてきた青柳雅春。押しも強くなく、交際相手の樋口晴子からは、このまま付き合い続けても”よくできました”止まり、”たいへんよくできました”はもらえないよ、と一方的に言われて別れてしまう始末。

 

そんな彼が国家的陰謀に突然巻き込まれ、金田首相殺害犯の濡れ衣を着せられる。しかも警察が違法捜査はするは拳銃はぶっ放すはでなりふり構わず追ってくるので、その逃亡劇は非常に緊迫感がある。ごく平凡な青年が突然身に覚えのない容疑で追われる身となり、訳も分からぬまま逃亡し、不安に苛まされ苦悩する様はあまりにも可愛そうで理不尽に思った。

 

それにしても時間軸の構成がいつもながら見事。冒頭の第一部、第二部では、テレビ視聴者の視点から事件全体の流れを追う形になっており、読者を一気に物語世界へと引きずり込む。続く第三部では時間が一気に未来へと進む。ここは、あるジャーナリストがまとめた20年前の金田首相暗殺事件に関する記事そのものになっている。こうして第一部から第三部までで事件の全貌とその顛末を部外者の視点で俯瞰することが出来る。

 

そして第四部でいよいよ当事者青柳雅春を中心としたストーリーが展開される。ボリューム的にも全体の8割近くを割いており、ここが本編と言えるだろう。青柳雅春視点の逃亡ストーリーとそれより若干時間の進んだ樋口晴子視点の周辺ストーリーがタイミングよく切り替わる。途中までは樋口ストーリーが先行するが徐々に青柳ストーリーが追い上げ、第四部終盤に時間がつながり、二人はニアミスする。ここで直接出会わないのにお互いの存在は確かに認識しているところがニクイ。この逃亡劇のラストは自分の予想とだいぶ違っていて、それが”やられた”ではなく、正直がっかり、といったそんな拍子抜けな感想だった。携帯ピポポで花火が上がるのは見事だったけど。。。

 

そしてラスト第五部は事件の3ヶ月後を描く。ここが伊坂幸太郎の凄いところ。第四部最後でがっかりさせたのは、実はこのラストの感動への伏線でした。ヤバイ鳥肌が。。。ホント参った。。。という冒頭はコレ。冷静に考えると、やっぱり後味悪いんだけど、その後味の悪さを補って、さらに感動させるのは本当にスゴイと思った。「青柳、おまえはロックだよ」の岩崎のセリフ、青柳実家に届いた「痴漢は死ね」の書き初め、青柳の左手甲に押された「たいへんよくできました」のハンコ、すべてが感動へとつながった。

 

しかも話はここで終わらない。最後まで読み終えた後、もう一度第三部、つまり事件の20年後に書かれたという記事を読むと驚きの事実が。記事の終わりの方で”そこでは森の声も聞こえなかった。”とある。。。この一文からこの記事を書いた人物が浮かび上がり、愕然とさせられた。

 

 

 

 

 

【2008/4/9追記】

祝!本屋大賞受賞!

受賞作は軒並み映像化されているので、本作も映像化されるかな。

まぁ、伊坂作品の映像化は珍しくないけど、この作品はなかなか面白そう。

過去には例がない、直木賞とのW受賞に期待してます。