★★★★★
日垣 隆 価格 法とはこれほど理不尽か非常に辛辣な言葉で書かれている。あえて辛辣に書かれているのだが、反感は全く覚えない。ということは、現在の刑法がいかに私の感覚からかけ離れたものになっているか、ということである。 刑法第39条。 心神喪失... | |
|
心神喪失者および
心神耗弱者の責任能力について規定された
刑法第39条。よく
精神障害者は罪を問われないとかって聞くけど、これほどまでとは。。。
この本は、精神障害犯罪者が罪を問われず、すぐにシャバに解放され、そして犯罪を繰り返す、という日本法曹界の闇の部分を明白にした筆者の執念のリポートだ。
正直なところ、精神障害犯罪者は病院で服役するみといった間違った知識を自分は持っていた。場所が精神病院というだけで、あくまでも服役しているのだと。ところが、この本を読んで分かったのは、入院は純粋に治療のためであり、服役でも何でもない。だから数ヶ月もすれば退院(釈放でない)して、普通に社会に戻ってくる。そもそも無罪なので刑に服す必要もないし、もっとすごいのは犯罪事態がなかったも同然に扱われることすらあるという。これには本当に驚いた。
加害者側が手厚く扱われる一方で、被害者側が全く救われていない理不尽さは、『
心にナイフをしのばせて』(レビューは
こちら)とかぶるものがある。こちらは加害者が
精神障害者ではなく未成年者という違いはあるが理不尽さは類似する。
(「BOOK」データベースより)
「心神喪失」の名の下で、あの殺人者が戻ってくる!「テレビがうるさい」と二世帯五人を惨殺した学生や、お受験苦から我が子三人を絞殺した母親が、罪に問われない異常な日本。“人権”を唱えて精神障害者の犯罪報道をタブー視するメディア、その傍らで放置される障害者、そして、空虚な判例を重ねる司法の思考停止に正面から切り込む渾身のリポート。第三回新潮ドキュメント賞受賞作品。
まず冒頭、息子を通り魔殺人で失った母親の叫びから始まる。加害者は精神鑑定の結果、不起訴となっている。この不起訴というのがまたたちが悪い。起訴されて裁判の判決として出るのが無罪であり、憲法で保障された裁判にすらかけらないのが不起訴だ。つまり不起訴とは、事件自体がなかったような状態になってしまう。加害者側からすれば不起訴ほど理不尽な話はない。
この後も続々と”
心神耗弱”や”心身喪失”の名の下に、刑の軽減や無罪判決が出されたり、不起訴にされたりと、とにかく理不尽のオンパレード。裁判に負けると出世に響くからと起訴や上告をためらう検察のヘタレぶりや鑑定人次第で結果が決まる精神鑑定には呆れて何も言えない。検察や鑑定人はことの重大さを理解してるのだろうか?
また、さらに理不尽なのは、
覚醒剤やアルコールによる
心神耗弱も刑の軽減を適用されるという。加害者が勝手に使った
覚醒剤やアルコールにより殺されたら死に損になってしまう日本の刑法の脆さ。社会正義も法秩序もあったもんじゃない。
本書によれは、日本の刑事裁判では、「正常」な犯罪者には厳罰を与え、「若干ヘン」な犯罪者には
心神喪失や
心神耗弱を適用し、「かなり異常」な犯罪者は存在しないこと(不起訴)になっているという。また裁判では、加害者弁護側が
心神喪失による無罪を主張し、検察側が完全責任能力を主張する。すると裁判所がその中間の
心神耗弱を適用して減刑にする、という安易な構図になっているらしい。腐っている。。。
とまぁ、そうはいってもこういった理不尽な話はそうそう起きてないだろう。あんまり新聞やテレビでも見かけないし、、、なんてムリヤリ楽な方に考えていたんだけど、なんと毎年100人以上の殺人者が
心神喪失の名の元に不起訴または無罪放免になっているらしい。え?マジで??? どうやら人権配慮とかでこういった事件は報道されてないため一般的には知られていないというのが本当のところらしい。法曹界だけでなくマスコミにも責任の一端があるのかもしれない。
こうして、最後まで暗く重い話題が続く。最後まで読んでも明るい話題はあまりない。それでも読んでよかった思わせるのは、筆者の熱意と力量だろう。この本は少しでも多くの人に読んでもらいたいと思った。特に法曹界、司法関係、マスコミ関連、精神医療関係、それから国会議員の方々は必読です。
日垣 隆 価格 世界一犯罪者に優しい国・日本一般国民は、本書に書かれてある日垣氏の主張を読んでも特に変わった事を言っているとは感じないであろう。「違法薬物である 覚醒剤を使用しての殺人が普通の殺人より罪が軽くなるのはおかしい」「計画的で冷静な殺... | |
|
価格 凄い・・・心神喪失者ノ行為ハ、罰セス 心神耗弱者ノ行為ハ、ソノ刑ヲ減軽スル映画を観て久々に“全力疾走したあとのような感覚”を味わった。 堤真一と 鈴木京香が素晴らしい。 堤真一は狂気と正気が渾然一体となる難しい役をみ... | |
|