快楽異常殺人を取り上げた短編集。短編集なんだけど、主人公の少年とそのクラスメートの森野という謎めいた少女が毎回登場し、彼らを中心に物語が進んでいく。(あとがきによると、元々はいくつも書く予定じゃなかったらしい。)彼らは二人とも死というものに異常な執着を持っており、それぞれが事件にのめりこんでいく。
(「MARC」データベースより)
森野が拾ってきたのは、連続殺人鬼の日記だった。学校の図書館で僕らは、次の土曜日の午後、まだ発見されていない被害者の死体を見物に行くことを決めた…。触れれば切れるようなセンシティヴ・ミステリー。
まぁ、とにかく、怖い。。。
普通、命というのはすごい慎重に扱われるものなんだけど、この作品はそういったものを全く感じない。ある意味、淡々と執行される死刑のような殺人が次々と繰り広げられる。殺人に理由もなければ、ほとんどの殺人犯がその罪を問われない。この辺にすごい違和感を感じつつも、絶妙な文章テクニックで次が気になって仕方ない。絶望感を感じながらも、スーッと読み終えてしまった不思議な感じ。
しかし、こういう理由なき殺人をする人、そしてそういう異常な殺人者を敬うような人がいると思うと怖い。こういう感覚の人間っているんだろうか?うん、多分いるんだろうな。それも自分の周りにも普通にいたりするのかも。やっぱり怖い。。。
森野さんだけは話が進むにつれて、何となく共感できる部分が見えてくる。何となくツンデレ系の香りがするし。。。が、主人公はちょっとダメだ。。。最後の最後で逆にサーッと血の気が引いた感じ。
この主人公、殺人事件にいろんな形で、しかもあんまりよろしくない形で関与しちゃうんだけど、何かやることが稚拙すぎて、普通は警察にマークされるはず。日本の警察はそんな甘くないよ~、そんなことしたら、そっから足がつくよ~、などと思ったり。
そういえば、場面が切り替わるごとに、一人称がいろんな人に替わるんだけど、森野さん一人称の文章が全くなかった気がする。最終的に確認しなかったので気のせいかもしれないが。。。
【文庫】
乙一関連情報サイト乙一FAN!によると、「GOTH」が映画化されるらしい。
どんな感じの映画になるんだろうか。。。うまくやらないとイタイ映画になりそうな気が。。。