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zakky's report

ネタバレ上等ブログ

 

贖罪


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告白』の映画化で話題の湊かなえ。 『告白』『少女』に続く第3作で、『告白』の本屋大賞受賞後第1作として発表された作品。

作品全体に漂う雰囲気は『告白』のそれを思い出させる。また『少女』でキーワードとなっていた「因果応報」という言葉も思い起こさせる内容。これら2作品がうまく融合した作品と言える。まぁ、後味の悪さは過去2作品に負けず劣らずで、この世界観こそが湊かなえ作品の肝だろう。

贖罪 (双葉文庫)
贖罪 (双葉文庫)
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湊 かなえ
双葉社 (2012-06-06)
売り上げランキング: 9,131


(「BOOK」データベースより)
取り柄と言えるのはきれいな空気、夕方六時には「グリーンスリーブス」のメロディ。そんな穏やかな田舎町で起きた、惨たらしい美少女殺害事件。犯人と目される男の顔をどうしても思い出せない四人の少女たちに投げつけられた激情の言葉が、彼女たちの運命を大きく狂わせることになる―これで約束は、果たせたことになるのでしょうか?衝撃のベストセラー『告白』の著者が、悲劇の連鎖の中で「罪」と「贖罪」の意味を問う、迫真の連作ミステリ。本屋大賞受賞後第一作。

デビュー作『告白』と同様に、登場人物による手紙や独白など一人称語り形式によって綴られていく。

空気がきれいなことくらいしか取り柄のない田舎町で起きた少女殺害事件。被害者はエミリという小学校4年生の女の子。夏休みのある日、小学校のプールの更衣室で男にレイプされ殺されてしまう。直前まで一緒に遊んでいた紗英、真紀、晶子、由佳の4人は犯人を目撃しているが、様々な理由から犯人の顔を思い出せず、被害者の母親の麻子から罵り脅迫され、その後の人生を大きく変えてしまう。

【紗英】
4人の中で一番小柄で幼い。事件当時、現場待機役となり、エミリの遺体をよく見てしまったせいで自身が大人にならないように自分に暗示をかけてしまう。理由は当時エミリだけが唯一初潮を迎えており、大人の身体になったせいでレイプされたと思ったから。その後、暗示が解けずに初潮が来ないまま社会人になり、麻子の甥の孝博に見初められて結婚する。一見好青年に見えた孝博だったが、実は紗英を人形として愛する性的倒錯者だった。それが原因で新婚早々夫婦喧嘩となってしまう。その喧嘩の最中に紗英は初潮を迎え、それをきっかけに事件のシーンがフラッシュバック。とっさに孝博を殺してしまう。

【真紀】
4人の中で一番しっかり者に見えたが、事件当時は怖くなって家に逃げてしまう。4人の中で犯人の顔を一番覚えていたのだが、逃げてしまった負い目から他の3人に話を合わせる流れで忘れたフリをしていた。そういったことを心に秘めたまま小学校教師になる。その小学校でプールの授業中に不審者が侵入し、生徒が襲われるという事件が起きる。エミリ事件の時の自分のふがいなさを思い出し、今度こそは勇敢に立ち向かう。真紀が致命傷を与えたわけではないが、結果的に犯人が死んでしまう。

【晶子】
4人の中で一番大きく走るのが速いことから、事件当時はエミリの家に行く役となる。その時にパニックになった麻子に突き飛ばされ頭に怪我を負い、事件のことを思い出すとその時の痛みが走るようになる。また、祖父の教えである、身の丈以上のことを求めると不幸になるという考えから、エミリが死んだのは当時いろいろなことに浮かれていた自分のせいだと考えてしまい、これ以上誰かを不幸にしないようにと不登校・引きこもりとなる。その後、大好きだった兄が結婚相手の連れ子を犯している現場を目撃し、事件当時の記憶が舞い戻り、兄を犯人と重ねてしまい、兄を殺してしまう。

【由佳】
事件発生時、近くの交番に駆け込んだ由佳は警察官に憧れるようになる。事件で一時的に親の関心を得るようになるが、病弱な姉に嫉妬され、親の関心を再び姉へと向けられる。そんなことがあり、事件後も憧れの警官に会いに交番に通いつめるようになる。その後、姉の夫、義兄が警察官であることから義兄を誘惑し、義兄の子を身篭る。由佳がこのことを姉に話してしまうのではないかと疑った義兄は由佳を階段から突き落とそうとする。その瞬間、携帯電話に麻子からの着信が入り、手が緩んだ隙に形勢逆転。逆に義兄を突き落とし、死なせてしまう。

といったように、4人はそれぞれ別々の形で誰かを殺してしまう。しかも全てエミリ殺害事件が遠因となっている。そして、この4人のそれぞれの事件の後、麻子が衝撃の告白をすることになる。

実は4人の独白によって南条というフリースクール主催者がエミリ殺害犯であることが分かる仕組みになっている。それはこの本の読者も分かっているし、4人が語りかけた相手である麻子にも伝わっているワケだ。その上で麻子の独白が始まるのだが、これが事件の全てをひっくり返すほどの衝撃的な内容となっている。

実は犯人である南条は過去に麻子と交際しており、その時の麻子の身勝手な行動によって南条が麻子に復讐を企てた。その結果がエミリ殺害だった。つまり、5人の少女の中からたまたまエミリが殺され、他の4人がたまたま助かった、という構図ではなかった。南条は最初から麻子の娘であるエミリを狙っていたのであり、他の4人は巻き込まれた形だったワケだ。そして、さらに衝撃だったのが、殺害されたエミリは麻子と南条の間にできた子どもであり、つまり、南条は自分の血を引いた娘をレイプして殺してしまったというワケだ。この真相を麻子から告げられた南条は、明確には書かれていなかったが、恐らく自殺したものと思われる。

巻き込まれた4人のその後だが、真紀は執行猶予付きの有罪で教師を辞めることに。由佳については事故として処理されてお咎めなしに。紗英と晶子は正当防衛と心神喪失で実刑はなさそうといったところ。事件から15年が経過し、全ての真相が明白となったワケだが、歪められた15年の人生、そしてこれからも続く人生を考えると、この4人は本当に不憫だと思う。

そして麻子ももちろん娘を亡くして不憫なのだが、全ては身から出た錆、因果応報なワケで、これだけの人の人生を狂わせておいて、自分だけはちゃっかり生き残っているってのは何だかなぁ、、、と思った。


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